要約
マンゴー炭疽病の発生には、薬剤散布回数、圃場内マンゴー剪定残渣量との密接な関連が認められる。また、稲わらを多く敷設したハウスでは、施設内の高湿度が抑制され、炭疽病の発生にも影響すると考えられる。
- キーワード: マンゴー、炭疽病、栽培管理、防除、残渣、稲わら
- 担当: 宮崎総農試・生物環境部
- 代表連絡先: 電話0985-73-6448
- 区分: 九州沖縄農業・病害虫
- 分類: 技術・参考
背景・ねらい
宮崎県産完熟マンゴーは4~7月に収穫・出荷されるが、特に後期(6~7月)出荷の作型を中心に、出荷後の果実での炭疽病の発生が大きな問題となっている。その発生には、農家間で発生程度に差異がみられている。そこで、栽培管理と炭疽病の発生との関係を明らかにするため、県内主要産地の後期出荷型マンゴーハウスにおいて、薬剤による防除、ハウス内湿度、剪定植物残渣の有無と炭疽病の発生量を調査する。
成果の内容・特徴
- マンゴー炭疽病は、年間の薬剤防除回数が多い園での発生が少ないが、少ない防除回数(2回以下)でも少発生の園(T)がみられることから、薬剤防除以外の要因が存在する(表1)。
- マンゴー葉剪定残渣が多い園では、炭疽病の発生が多い(表2)。
- ハウス内が高湿度(95%以上)となる累積時間が長いと炭疽病の発生が多い傾向にあり、6月(果実肥大後期~収穫期)の高湿度との関連性がうかがわれる(表2)。
- 稲わらを多く敷設したハウス内は、特に梅雨期(6月)に高湿度となる頻度が低く、炭疽病の発生は少ない傾向にある(表2)。
成果の活用面・留意点
- 宮崎県での完熟マンゴーの作型は早期出荷型(4~5月)と後期出荷型(6~7月)の2タイプに大別されるが、本結果は、後期出荷型を対象としたものである。
- 伝染源と考えられるマンゴー剪定残渣は、ハウス外に持ち出して処分することが炭疽病の発生防止対策として有効と考えられる。
具体的データ
その他
- 研究課題名: マンゴー炭疽病の発生要因の解明
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2005~2009年度
- 研究担当者: 寺本敏、今村幸久、本山宏
- 発表論文等: 寺本ら(2009)九病虫研会報、55:57-61