要約
アスパラガス半促成長期どり栽培では、褐斑病菌の分生子は3月上中旬頃より飛散するため、立茎時期における薬剤防除は本病に対し有効であり、20~30日間隔での薬剤防除と妻面など上部換気による施設内の低湿化との組み合わせで、本病を抑制できる。
- キーワード: アスパラガス、半促成長期どり栽培、褐斑病、分生子飛散、薬剤防除、低湿化
- 担当: 長崎総農林試・環境部・病害虫科
- 代表連絡先: Tel:0957-26-3330
- 区分: 九州沖縄農業・病害虫
- 分類: 技術・普及
背景・ねらい
西南暖地のアスパラガスにおいては、雨よけ施設による半促成長期どり栽培の導入により、2月~10月までの長期間に渡る連続した収穫で収益性が大きく向上した。しかし、本栽培導入における施設内環境の変化から、多湿を好む褐斑病などの発生が顕在化し、安定生産の阻害要因となっている。本病は病勢進展が早いため、一旦発生すると早期黄化や落葉などの大きな被害につながることが多いが、本栽培では収穫を毎日行うため、登録上使用できる農薬が非常に少なく、栽培地では防除に苦慮している。
そこで、褐斑病の耕種的防除と防除適期を考慮した薬剤散布との組み合わせによる効率的な防除法の確立を図る。
成果の内容・特徴
- アスパラガス褐斑病菌の分生子は、半促成長期どり栽培においては、3月上中旬頃より飛散する(データ略)ため、立茎時期の薬剤防除は極めて有効である(表1)。
- 湿度は低い方が本病の発生程度は低い(表2)。
- 妻面を開放すると、施設内湿度は低下する(図1)。
- 上記1、2、3と20~30日間隔での薬剤防除を組み合わせることにより、収穫期間中の本病の発生を低く抑えることができる(図1)。
成果の活用面・留意点
- 本情報は、4月に立茎を開始する半促成長期どり栽培を想定したものである。
- 立茎時期の防除開始時期は、地上部の生育面も考慮し、立茎開始2~3週間後からでよいと考える。
- 本病原菌は、土壌表面の前年発病残渣(擬葉等)で越冬するので、作付け終了後は、被害残渣を圃場外へ持ち出すとともに、畦面付近の残渣をバーナーで焼却する等、圃場環境の浄化などを併せた総合的対策が大事である。
具体的データ
その他
- 研究課題名: アスパラガス重要病害虫の効率的防除技術の確立
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2004~2008年度