要約
ハウスビワの開花直前の時期(10月下旬~11月上旬)からハウス天井部のみを被覆して降雨を回避する耕種的防除技術は、慣行の落弁期(12月中旬)被覆の場合に比べ、腐敗果の発生を約20%(95%信頼区間:13~29%)に減少させる防除効果を有する。
- キーワード: ハウスビワ、果実腐敗、耕種的防除、防除効果
- 担当: 長崎果樹試・病害虫科
- 代表連絡先: Tel:0957-55-8740
- 区分: 九州沖縄農業・病害虫
- 分類: 技術・普及
背景・ねらい
ビワの重要病害である果実腐敗の耕種的防除技術として、長崎県長崎市を中心とする一般型ハウスビワ栽培における慣行の被覆時期(12月中旬)に比べ、早期(10月下旬~11月上旬)にハウス天井部のみを被覆した場合の効果を実証している(「ハウス天井部の早期被覆によるビワ果実腐敗の発生抑制」、九州沖縄農業研究成果情報、第23号、p275-276)。
ここでは、本技術を普及する際に必要な導入効果の指標を明らかにするため、2006年から2ヵ年にわたって実施した計3事例の実証試験の結果を基に、本耕種的防除技術の防除効果を推定した。
成果の内容・特徴
- ハウスの天井部を落弁期(12月中旬)に被覆した場合に比較して、開花直前(10月末~11月上旬)に被覆した場合には、開花期以降の降雨を回避することができる(図1)。
- ハウス天井部を開花直前に被覆すると、腐敗果率は低く抑制される(図2)。また、開花直前被覆は落弁期被覆に比べて腐敗果の発生を約20%(95%信頼区間:13~29%)に減少させる効果(防除価80)であることが推定される(表1)。
成果の活用面・留意点
- ハウスビワの果実腐敗に対する耕種的防除法として利用できる。
- ハウスビワ栽培に本技術を導入する際、効果の目安として活用できる。
- 各試験は隣接したビワハウス(品種`長崎早生')で実施し、開花直前被覆ではハウス天井部の被覆のみを開花直前の時期(10月下旬~11月上旬)に行い、ハウス側面は加温開始時期まで開放した。また、各試験の処理区間で薬剤防除は同じである。
具体的データ
その他
- 研究課題名: ハウスビワの耕種的防除を基軸とした病害虫管理技術の実証
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2006~2007年度