九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

ブロッコリーにおける低密度ポリエチレン包装資材による鮮度保持効果

要約

ブロッコリーの出荷に用いる包装資材として、低密度ポリエチレン製袋は慣行の微細孔ポリプロピレン製袋と比較して、春、秋、冬のいずれの収穫時期においても高い鮮度保持効果があり、特に春と秋ではその差が顕著である。

  • キーワード: ブロッコリー、鮮度保持、包装資材、低密度ポリエチレン製袋、微細孔ポリプロピレン製袋
  • 担当: 長崎農技セ・研究企画部門・食品加工研
  • 代表連絡先: Tel:0957-26-3330
  • 区分: 九州沖縄農業・フードシステム
  • 分類: 技術・参考

背景・ねらい

長崎県ではブロッコリー生産量は近年増加しているが、収穫後の鮮度保持が難しく、市場において少しでも黄化していれば商品価値が著しく低下する。そのため、長崎県の主産地では鮮度保持効果の高い包装資材であるMA貯蔵効果を有する微細孔ポリプロピレン(以下OPP)製袋が導入されているが、高コストの点が問題となっている。

そこで、より低コストである低密度ポリエチレン(以下LDPE)製袋(厚さ0.02mm)の鮮度保持効果を春、秋、冬の収穫時期別に現行の微細孔OPP製袋と比較する。

成果の内容・特徴

  • 10°C定温・暗所・密封保存下において、ブロッコリー花蕾部の外観鮮度指標である黄化は、6日目までは、いずれの収穫時期(春、秋、冬)においてもLDPE製袋と微細孔OPP製袋は同程度に高く抑制されるが、それ以降12日目にかけては、春、秋収穫において、微細孔OPP製袋は黄化が進行する(図1、図2)。
  • 花茎部においては、全ての収穫時期においてほぼ同一傾向が認められ、LDPE製袋は微細孔OPP製袋に比べて黄化等の鮮度の劣化を抑制する(図3)。
  • 以上のことから、微細孔OPP製袋と比較して、LDPE製袋のブロッコリーの鮮度保持効果は、保存6~12日後あたりから現れる。特に、冬に比べて収穫期の気温が高い春と秋ではその効果が大きい。また、価格は同形状の場合、微細孔OPPの1/2以下である。

成果の活用面・留意点

  • 長崎県内のブロッコリー出荷・流通技術の基礎資料として活用する。
  • 本県産地から県外へのブロッコリー輸送中の温度について調査した結果、概ね10°C以下のため、試験条件として10°C定温を設定する。
  • LDPE製袋による保存は、収穫条件、流通条件によっては、ブロッコリーが嫌気呼吸を行い特有の匂いを発生させる可能性があり得る。活用に当たっては、収穫条件、流通条件への適合試験が必要である。

具体的データ

図1

図2

図3

試験条件

(波部一平)

その他

  • 研究課題名:長崎県特産農産物の流通技術開発
  • 予算区分:県単
  • 研究期間: 2007~2009年度
  • 研究担当者:波部 一平