要約
OPPフィルムにCPPフィルムまたはLLフィルムを貼り合わせた包装袋を開発した。この包装袋は、フィルムの厚さを変えることでガス透過度を調節できるため、安価で多くの青果物の品質を保持できる。
- キーワード: ポリプロピレンフィルム、包装袋、ガス透過度、品質保持
- 担当: 福岡県農総試・流通加工チーム
- 代表連絡先: 電話092-924-2930
- 区分: 九州沖縄農業・フードシステム
- 分類: 技術・普及
背景・ねらい
OPP(延伸ポリプロピレン)フィルムは価格が安いため多くの青果物で利用されているが、ガス透過度が低いために密封包装すると袋内が過度の低酸素状態となり、異臭が発生しやすい。一方、フィルムに微細孔を開け、ガス透過度を調節できる包装袋(微細孔フィルム)が市販されているが、価格が高いため普及の障害となっている。
そこで、ガス透過度を調節できる安価な包装袋を開発するとともに、品質保持のための青果物の包装形態を明らかにする。
成果の内容・特徴
- OPPフィルムにCPP(未延伸ポリプロピレン)フィルムあるいはLL(ポリプロピレン・ポリエチレン共押)フィルムを貼り合わせた包装袋を開発した。この包装袋は、フィルムの厚さを変えることでガス透過度を調節でき、価格は微細孔フィルムの約1/2~1/3(約4円程度/枚)である(図1、表1、一部データ略)。
- ホウレンソウを厚さ15μmのOPPと厚さ20μmのCPPを貼り合わせた包装袋(OPP15+CPP20)に入れ密封包装すると、袋内は品質保持に適するガス条件となり、15°Cで7日間小売り販売可能な品質を保持できる(表2)。
- 品目ごとの最適な包装形態は、シュンギクではOPP15+CPP20、コマツナではOPP20+CPP20、ナバナやネギではOPP15+LL25で密封包装することで、またブロッコリーやアスパラガスではOPP15+LL25、玉レタスやハクサイ、カボチャ、キャベツではOPP20+LL25でバッグシールすることである(表3)。
成果の活用面・留意点
- この包装袋は、(株)ホリックスから市販されている。
- 適度な低酸素高二酸化炭素条件で品質が保持できる青果物に適用できる。
- 袋内のガス組成は青果物の重量や呼吸速度に左右される。呼吸速度は流通・販売条件によって異なるため、事前に予備試験を行う必要がある。
- 本包装袋は、現行の自動包装機では包装処理できない。
具体的データ
その他
- 研究課題名: 新規包装資材による青果物の品質保持技術
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2006~2008年度
- 研究担当者: 池田浩暢
- 発表論文等: 1)池田ら「包装袋の製造方法及び同方法により製造した包装袋」
特許出願2006-215978、特許出願2008-28401