要約
パパイヤのピューレ加工においては、果皮全体が黄化した果実が適する。またピューレのホモジナイズ、セルラーゼ製剤による酵素処理により、粘度の異なる風味良好なケチャップが作成できる。
- キーワード: パパイヤ、ピューレ加工、ケチャップ
- 担当: 沖縄農研・農業システム開発班
- 代表連絡先: 電話098-840-8512
- 区分: 九州沖縄農業・フードシステム
- 分類: 技術・参考
背景・ねらい
パパイアは、沖縄県において生産拡大が期待される品目であるが、多収穫期の価格下落および規格外果実の対応への観点から、加工品の開発が必要となっている。このため、ケチャップ加工をパパイヤ利用の一方策とみなし、果実熟度と原料特性、ピューレ加工における処理法、ピューレからの製品加工および試作品の特性などについて基礎的知見を得る。
成果の内容・特徴
- 果皮全体が黄化した果実は、黄化が進行中の果実と比較して搾汁率が有意に高く、粘度のバラツキも小さいことから、加工原料として適する(表1)。
- ピューレに熱処理を行うと、加熱することによって粘度は高く保たれる。加熱後は橙色から赤みを増す。加熱後ホモジナイズ処理を行うと再び橙色に変化し、粘度が上昇する(表2)。
- ホモジナイズしたピューレは硬めの食感を呈するため、粘度低下を目的として酵素処理を行うと、セルラーゼ製剤や複合製剤を使用した場合に粘度が大きく低下する。色調は明るめの橙色に変化する(表2)。
- パパイヤピューレを加熱濃縮し、タマネギ・ニンニクペースト、香辛料抽出液、食塩を用いて調味すると、原料の風味と色調を生かした良好なケチャップとなる。また、ホモジナイズ、酵素処理(セルラーゼ製剤)により、粘度の異なるケチャップを作成することができる(表3、表4)。
- パパイヤケチャップのDPPHラジカル消去能およびポリフェノール含量は、酵素処理によって増加する。またトマトケチャップと比較すると、3~4倍の高い値を示す(表4)。
- 官能評価では、処理区間に有意差は認められないことから、ホモジナイズや酵素処理が、パパイヤケチャップの嗜好性に与える影響は小さい(表4)。
成果の活用面・留意点
- ピューレの粘度調整、調味料の配合により、様々なタイプの商品設計が可能である。
- 当該技術を活用して、県内でソース製品が市販されている。
- 農業改良普及センターの生活改善グループ活動で、当該技術を活用している。
- ケチャップ作成に使用した品種は、「フルーツタワー」である。
- 過剰な酵素処理は、ケチャップの漿液分離の原因となる。
具体的データ
その他
- 研究課題名: 野菜用パパイヤの鮮度保持技術開発
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2004~2009年度
- 研究担当者: 照屋亮、広瀬直人、吉武均