要約
「川野ナツダイダイ」果汁は高いヒアルロニダーゼ阻害活性を持っており、果汁を加熱濃縮し製造したエキスも阻害活性は減少しないので、ヒアルロニダーゼ阻害活性を持った加工食品の原料として有望である。
- キーワード: 川野ナツダイダイ、ヒアルロニダーゼ阻害活性、エキス
- 担当: 熊本県産技セ・食品加工室
- 代表連絡先: 電話096-368-3600
- 区分: 九州沖縄農業・フードシステム
- 分類: 研究・参考
背景・ねらい
近年の食品に対する消費者のニーズは、栄養の摂取だけでなく、種々の疾病に対する予防効果を期待するようになっており、特に花粉症などに効果がある抗アレルギー性を持った食品の要望は高いと思われる。また、ナシ、スイカなどの果汁を煮詰めたエキスは、高機能食品として古くから利用されており、加熱濃縮による機能性の向上が期待されている。
そこで、カンキツ等の県産果実の果汁およびこれらの果汁を原料にしたエキスの抗アレルギー性を I 型アレルギーの試験管内レベル評価指標であるヒアルロニダーゼ阻害活性を測定することにより調査し、県産果実を利用した高機能食品開発の基礎資料とする。
成果の内容・特徴
- ヒアルロニダーゼ阻害活性(図1)を調査したカンキツ(川野ナツダイダイ、河内晩柑、青島、葉ミカン、タロッコ)、ナシ(新高)、ブドウ(巨峰)およびメロン(肥後グリーン)の中で、カンキツ類の「川野ナツダイダイ」は果汁・エキス(図2)ともに高いヒアルロニダーゼ阻害活性を持っている(図3)。
- 「川野ナツダイダイ」果汁は、エキス製造において乾物重当たりのヒアルロニダーゼ阻害活性を減少させることなく加熱濃縮が可能である(図3)。
成果の活用面・留意点
- 熊本県内における「川野ナツダイダイ」加工利用振興の基礎資料として利用する。
- ヒアルロニダーゼ阻害活性測定の対照には、すでに抗アレルギー性が確認されている茶「べにふうき緑茶」を用いている。
- 「川野ナツダイダイ」のヒアルロニダーゼ阻害活性の原因物質は特定されていない。
- 抗アレルギー性の証明には、ヒアルロニダーゼ阻害活性の原因物質の特定や臨床試験等が必要である。
- 「川野ナツダイダイ」エキスは、果汁を8倍加熱濃縮したものである。
具体的データ
その他
- 研究課題名: 果実エキスの保健機能効果の解明
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2006~2008年度
- 研究担当者: 荒木誠士、工藤康文、上野華子