要約
熊本県の伝統的発酵食品「妙解寺納豆」のACE阻害活性、外観及び風味からみた最適な発酵条件は、発酵温度25°C・発酵期間30日である。
- キーワード: 妙解寺納豆、ACE阻害活性、発酵条件
- 担当: 熊本県産業技術センター農産加工部
- 代表連絡先: Tel:096-368-3600
- 区分: 九州沖縄農業・フードシステム
- 分類: 技術・参考
背景・ねらい
妙解寺納豆(みょうげじなっとう)は、肥後細川藩初代藩主忠利公の菩提寺として1642年に建立された妙解寺で作られていた。妙解寺納豆は、納豆菌の変わりに麹菌を使用する「塩辛納豆」とほぼ同じ製法で、スパイシーな味覚が特徴である。しかし、1871年に寺が取り壊され、妙解寺納豆も途絶えている。我々は、文献をもとにこの妙解寺納豆の復活に取組んでいるが、発酵条件が不明確である。そこで、妙解寺納豆のACE阻害活性及び風味から最適な発酵条件(温度・期間)を検討した。
成果の内容・特徴
- 発酵温度25°Cでは、30°C及び35°Cより「妙解寺納豆」の褐変も淡く風味・作業性も良いので、妙解寺納豆の発酵条件は発酵温度25°C・発酵期間30日である(表)。
- 妙解寺納豆のACE阻害活性は、発酵温度及び発酵期間によって異なり、25°Cでは30°C及び35°Cより活性の上昇が早く、しかも発酵17日から35日までその高い活性が持続する(図1)。
- 本条件で発酵した妙解寺納豆は、類似した市販大豆発酵食品と同等かそれ以上のACE阻害活性を示す(図2)。
成果の活用面・留意点
- 県内食品企業で活用する。
- 妙解寺納豆のACE阻害活性はin vitroで確認できたが、実験動物やヒトに対する血圧上昇抑制効果は不明である。またその活性本体についても今後の研究が必要である。
具体的データ
その他
- 研究課題名: 伝統的食品加工技術の応用に関する研究
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2005~2007年度