九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

ソラマメ用畦立・土壌消毒・二層マルチ一工程作業機

要約

ソラマメの畦立・畦内土壌消毒と同時に消毒効果を高める黒ポリエチレンフィルムの上に昇温抑制用の白色ポリエチレン不織布を二層に重ねて被覆する一工程作業機を実用化した。作業能率は1.0h/10aで、慣行作業に比べ約4.5倍の能率である。

  • キーワード: ソラマメ、畦立、地温抑制、土壌消毒
  • 担当: 鹿児島県農総センター・大隅支場・農機研究室
  • 代表連絡先: Tel:0994-62-2001
  • 区分: 九州沖縄農業・畑作
  • 分類: 技術・普及

背景・ねらい

ソラマメ栽培では、畦立・畦内土壌消毒と同時に黒ポリエチレンフィルムを被覆し、播種前に同フィルムを剥がし、昇温抑制用の白色ポリエチレン不織布への張り替えが行われている。そこで、畦立・畦内土壌消毒と消毒効果を高める黒ポリエチレンフィルムと昇温昇抑制用の白色ポリエチレン不織布の被覆を一工程で行う「畦立・土壌消毒・二層マルチ一工程作業機」を開発・実用化する。

成果の内容・特徴

  • 本機は、畦立と同時に土壌消毒液を畦中央に注入しながら消毒効果向上用の黒ポリエチレンフィルムの上に昇温抑制用の白色ポリエチレン不織布を二層に重ねて展張する小型トラクタ用作業機である。機体寸法は全長1,420mm、全幅1,140mm、全高950mm、機体質量170kgで、12~18kw(16~25ps)級のトラクタに適応できる(図1)。
  • 本機の作業能率は1.0h/10aで、慣行に対して4.5倍程度の能率が見込める(図2)。作業可能面積は約13ha/台である(指宿市の作業可能日数33日、実作業率50%)。
  • 二層被覆時の畦内地温は黒ポリエチレンフィルムのみおよび、白色ポリエチレン不織布一層被覆に比べて地温上昇抑制効果が認められる。畦立・土壌消毒後のガス濃度は、16日目には播種が可能なガス濃度まで低下する(表1)。
  • 本機を利用した二層マルチ栽培の収穫ピーク時の収量は、慣行と同程度である(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 黒ポリエチレンフィルムは白色ポリエチレン不織布より必ず10cm程度幅の広いものを用いる。
  • 白色ポリエチレン不織布は再利用が可能である。回収時に両端を揃えゆるみがないように芯管に巻いておく必要がある。
  • アルミ蒸着フィルム(ミラーフィルム)は土壌消毒剤(クロルピクリン)によって劣化が早まるため使用できない。
  • マルチの剥ぎ取りは、慣行の剥ぎ取り機が利用可能である。
  • 本機は2010年度から市販されている。
  • 普及対象は高温期(9月上旬)播種のソラマメである。

具体的データ

図1

図2

表1

表2

(溜池 雄志)

その他

  • 研究課題名: 地域特産物の生産性向上のための機械化作業技術の確立
  • 予算区分 : 県単
  • 研究期間 : 2008~2010年度
  • 研究担当者: 溜池 雄志、大村 幸次