九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

加工用バレイショ新品種「らんらんチップ」の栽培特性

要約

加工用バレイショ「らんらんチップ」は「トヨシロ」に比べて、収穫期後半の腐敗と内部異常の発生が少ない品種である。鹿児島県では1月下旬~2月上旬に植付け、5月下旬~6月上旬に収穫する作型で、上品収量が高い。

  • キーワード: 加工用バレイショ、品種、らんらんチップ、作型、塊茎腐敗
  • 担当: 鹿児島農総セ大隅・園芸作物研究室
  • 代表連絡先: Tel:0994-62-2001
  • 区分: 九州沖縄農業・畑作
  • 分類: 技術・参考

背景・ねらい

鹿児島県は、北海道産のポテトチップス用バレイショが不足する時期の出荷を担う重要な加工バレイショ産地である。現在、本県で栽培されている加工用バレイショ品種「トヨシロ」は、収穫後期に発生する腐敗と内部異常の発生が、生産の不安定要因となっている。
そこで、収穫後期の生産安定を図るために、近年育成された新品種「らんらんチップ」の本県における栽培特性を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 「らんらんチップ」は「トヨシロ」に比べて、収穫時の腐敗いもの発生が少ない。6月収穫は、「トヨシロ」では収穫時の腐敗いもが増加し、上品収量が低下するが、「らんらんチップ」では上品収量が「トヨシロ」に比べ高い(図1、図2)。
  • らんらんチップは1月中旬植えでは出芽率が低く,早植えには適さない(表1)。
  • 鹿児島県で「らんらんチップ」を栽培する場合、1月下旬~2月上旬に植え付け、5月下旬~6月上旬に収穫する作型が適する。
  • 「らんらんチップ」は「トヨシロ」に比べて、内部異常の発生は低く推移する(図3)。
  • 「らんらんチップ」は「トヨシロ」に比べて、でん粉価は同等かやや低いが、チップカラーは良好である(データ略)。

成果の活用面・留意点

  • 鹿児島県内の加工用バレイショ栽培において、「トヨシロ」の一部に置き換えて「らんらんチップ」を導入する際の参考になる。
  • 「らんらんチップ」は「トヨシロ」に比べ収穫時の裂開がやや多い傾向だが、実需者の評価では問題なかった。
  • 「らんらんチップ」のその他の特性は以下のとおりである。
    いも形状: 倒卵形、休眠期間: 中(トヨシロ: 長)、肉色: 黄白、塊茎腐敗抵抗性: 強
    個重型・個数型の別: やや個数型、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性: 有
    品種登録者: (独)農業・食品産業技術総合研究機構
  • 本試験の耕種概要
    実施場所: 大隅支場内ほ場、土壌条件: 厚層多腐植質黒ボク土、種いも重: 35~40g
    栽植様式: うね幅80cm、株間25cm(栽植密度500株/a)、透明ポリマルチ
    施肥量: ばれいしょ配合10kg/a(N: P2O5: K2O=1.4: 1.4: 1.4)、牛ふん堆肥200kg/a

具体的データ

図1

図2

図3

表1

(小玉 泰生)

その他

  • 研究課題名: 春作加工用バレイショの栽培法確立と育成品種系統の評価
  • 予算区分 : 委託プロ(加工プロ III 系)
  • 研究期間 : 2006~2010年
  • 研究担当者: 小玉 泰生、森 清文、福元 伸一