九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

早生で秋まき・春まき栽培に適するそば新品種「宮崎早生かおり」

要約

「宮崎早生かおり」は秋まき栽培では熟期が「鹿屋在来」より7日、「みやざきおおつぶ」より9日早く、収量は「鹿屋在来」および「みやざきおおつぶ」と同程度で、食味は「鹿屋在来」と同程度で良好である。また、春まき栽培においても高い収量性を有する。

  • キーワード: ソバ、秋まき栽培、春まき栽培
  • 担当: 宮崎県総農試・作物部
  • 代表連絡先: Tel:0985-73-2126
  • 区分: 九州沖縄農業・畑作
  • 分類: 技術・参考 

背景・ねらい

宮崎県のそばの秋まき栽培では「鹿屋在来」および「みやざきおおつぶ」が多く作付けされているが、両品種とも熟期が遅く、広域霧島地域や県北および中山間地域には適さない。また近年、秋まき栽培では台風等の気象災害により安定した収量が確保できない年が多くなっている。
そこで、秋まき栽培では「鹿屋在来」および「みやざきおおつぶ」より早生で、台風回避が可能な春まき栽培にも適した良食味品種を育成する。

成果の内容・特徴

  • 「宮崎早生かおり」は、2001年より「鹿屋在来」の変異株から選抜を行い、「鹿屋在来」および「みやざきおおつぶ」より熟期が早く、食味も優れる系統の選抜・固定を行って育成した。
  • 秋まき栽培では、成熟期は「鹿屋在来」より7日、「みやざきおおつぶ」より9日早く、主茎長は「鹿屋在来」および「みやざきおおつぶ」に比べて短い(表1)。収量は「鹿屋在来」および「みやざきおおつぶ」と同程度で、千粒重は「鹿屋在来」より大きく、「みやざきおおつぶ」より小さい(表2)。製粉歩留りは「鹿屋在来」と同程度で、「みやざきおおつぶ」より高い(表2)。食味は「鹿屋在来」と同程度で良好である(表3)。
  • 春まき栽培では、2006年は播種直後の降雨等により出芽率が低下したため低収であるが、2005年および2007年は収量100kg/10a以上となり、春まき栽培適応性も高い(表4)。

成果の活用面・留意点

  • 秋まき栽培において「鹿屋在来」「みやざきおおつぶ」に替えて、宮崎県内約380haで作付け予定である。
  • 成熟期を過ぎると、脱粒し易くなるため、適期に収穫する必要がある。
  • 耐湿性は強くないため、排水対策を励行する。
  • 春まき栽培は、発芽後に霜の危険性がない時期に播種を行い、収穫を梅雨入り前に行う必要があるため、広域沿岸地域での作付けが可能である。

具体的データ

 表1
表2

表3

表4

 

その他

  • 研究課題名: 焼酎醸造用水稲を主とした水田高利用作物の開発と栽培法の確立 パワーアップみやざき多用途品種の育成
  • 予算区分: 県単
  • 研究期間: 2004~2006年・2007~2011年度