九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

電動バレイショ茎葉処理機

要約

電動バレイショ茎葉処理機は、2.6kwDCモーター駆動し、リチウムポリマー電池を動力源としたバレイショ茎葉引き抜き機であり、作業能率は7.6a/h(圃場作業効率92.7%)で従来機と同等かつ作業時の静穏性に優れる。

  • キーワード: 電動、茎葉処理、DCモーター、リチウムポリマー電池
  • 担当: 農林技術開発センタ・干拓営農研究部門
  • 代表連絡先: Tel:0957-35-1272
  • 協力・分担:長崎県産業振興財団、田中工機(株)、協和機電工業(株)、松島電気製作所(株)
  • 区分: 九州沖縄農業・畑作
  • 分類: 技術・普及

背景・ねらい

現在、農業経営は燃料、資材或いは肥料等の高騰化及び農作物の販売価格の低迷等により厳しい状況になっている。特にここ数年の原油取引価格に起因する燃料費高騰は、農業経営を圧迫し、農業者の生産意欲を低下させている。
一方、自動車業界等では、地球の温暖化問題に呼応して環境に優しい次世代を目指した自動車の開発が進展しており、脱石油燃料に向けた自動車開発(燃料電池車、電気自動車)が積極的におこなわれている。その中で電気自動車については、国内のメーカーが製品の販売が開始している。
本研究では、長崎県のバレイショ栽培で広く普及しているバレイショ茎葉処理機をベースに、地場企業、長崎県産業振興財団と連携して小型電動農耕機の試作を行い、農業経営に負荷をかけず環境にやさしい電動農耕車の実用化を目指す。

 

成果の内容・特徴

  • 開発機は既存のバレイショ茎葉処理機(T社製T-5A)の機能、機構を利用し、動力部をガソリンエンジン(3.0kw(4.2ps))から2.6kw24VDCモーターに変更し、動力源にリチウムポリマー電池(2.6kwh)を搭載したものである(表1)。
  • 機体は全長1990mm、全幅650mm、全高1050mm、である。機体重は300kgである (表2)。従来機に比べ電池パックおよびバランスウエイトの搭載により機体重量は約90kg増加したものの、作業性に問題はない。
  • 動力源の電池パックは交換が可能であり、1個の電池パックで約2時間の連続作業が可能である。
  • 開発機の作業能率は7.6a/hr(圃場作業効率92.4%)で、従来機と同等である。
  • 動力部をエンジンからモーターへ変えたことで、作業時の平均振動は7.9m/s2から6.2 m/s2に、平均騒音は81.9dBから69.6dBにそれぞれ減少し、静穏性に優れる(図1)。

成果の活用面・留意点

  • 電池パックはAC100Vでの充電が可能であり、約8時間で満充電となる。また、本機、電池パックとも耐用年数は8年程度である。
  • 本機は市販化の予定である。

具体的データ

写真

表1

表2

図1 

 

その他

  • 研究課題名: 新エネルギー産業等集積促進事業
  • 予算区分: 国庫
  • 研究期間: 2007~2009年度
  • 研究担当者: 宮嵜朋浩、一丸禎樹(工業技術センター)、片岡正登