九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

モモのトンネルハウス栽培では天井フィルムの3シーズン連続使用が可能である

要約

モモのトンネルハウスに栽培おいて、天井フィルムを3シーズン連続使用しても収穫期や果実品質等への影響は小さく、使用期間が延びるので、コスト削減が可能である。

  • キーワード: モモ、トンネルハウス、天井フィルム、使用年数
  • 担当: 熊本県農研セ・球磨研
  • 代表連絡先: Tel:0966-45-0470
  • 区分: 九州沖縄農業・果樹
  • 分類: 技術・普及

背景・ねらい

モモのトンネルハウス栽培は、加温ハウス栽培に比べて、低コストに高品質果実を生産できるが、近年の施設資材費の高騰により、更なる低コスト化が必要である。被覆資材の使用年数は中・長期展張用を除いて基本的に1シーズンとされているが、その使用期間については品目や作型において明確化されていない。そこで、モモのトンネルハウス栽培における天井フィルムの複数年使用による収穫期や果実品質等への影響を検討し、栽培の指針とする。

成果の内容・特徴

  • 天井フィルムの使用年数が長いほど、棚面の照度や温度がやや低い傾向がみられる(表1)。
  • 1年目と3年目のフィルムでは、光合成に影響する葉の形質に差はみられない(表2)。
  • 1年目~3年目のフィルムでは、開花期や収穫期、着色に差はみられない(表3)。
  • 同程度の着色で収穫した場合、1年目のフィルムより2、3年目のフィルムの果肉硬度がやや硬い傾向にある(表3)。また、同程度の果肉硬度で収穫した場合には、糖度に差はみられず、果実肥大や硬核期の時期についても同様である(データ略)。
  • 1年目~3年目のフィルムでは、1果重や商品果率、収量に差はみられない(表4)。

成果の活用面・留意点

  • 天井被覆資材には、1年目(新品)、2年目(1年使用済)、3年目(2年使用済)のポリエチレンフィルム(厚さ:0.075mm)を使用した。
  • いずれの試験年度も、2月下旬に天井及びサイドフィルムを被覆し、4月末にサイドフィルムを、収穫直後に天井フィルムを除去した。また、フィルムの開閉は1~3年目フィルムとも同じ時間に行った。
  • 本試験での薬剤散布回数や果実の着色管理等は栽培指針に準じている。なお、薬剤散布回数が多かったり、薬剤の種類によってはフィルムの汚れが進行し、生育や果実品質への影響が出ることも予想されるので注意する。
  • 本試験は、平棚仕立て栽培における調査結果である。

具体的データ

表1

表2

表3

表4

(春崎 聖一)

その他

  • 研究課題名: 球磨地域の早生モモ施設栽培における低コスト・高品質化技術の開発
  • 予算区分: 県単
  • 研究期間: 2007~2009年度
  • 研究担当者: 春崎 聖一(熊本県農研セ・果樹)