九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

生食用パインアップル品種「ジュリオスター」の未出蕾株を用いた秋実収穫体系

要約

「ジュリオスター」は、自然夏実収穫体系と処理秋実を収穫する体系を組み合わせることで、収量は向上し、収益性も高い。

  • キーワード: パインアップル、自然夏実、処理秋実、収益性
  • 担当: 沖縄農研・名護支所・果樹班、沖縄農研・システム班
  • 代表連絡先: Tel:0980-52-0052
  • 区分: 九州沖縄農業・果樹
  • 分類: 技術・普及

背景・ねらい

生食用パインアップル品種「ジュリオスター」は、従来の生食用品種に比べ、出蕾率が低く、自然夏実の収量が低いという問題がある。そこで、未出蕾株に花芽誘導処理した果実の収量特性を調査し、「ジュリオスター」における生産性の高い栽培技術について検討する。併せて、経営評価も行い収益性を検討する。

成果の内容・特徴

  • 「ジュリオスター」の処理秋実における出蕾率は高く、主要な生食用品種と同様にエテホン液剤による花芽誘導効果は高い(表1)。
  • 「ジュリオスター」の5月中旬処理秋実の果実重は自然夏実と同程度で1000gを超え、商品化率も高いため収量は高い。また、自然夏実と組み合わせた場合の収量も主要な生食用品種よりも高い(表1)。
  • 「ジュリオスター」の5月中旬処理秋実を収穫した後のえい芽の発生数は、栽培上の適正値に近く、次世代の種苗として利用できる(表2)。
  • 「ジュリオスター」の収益性を主要な生食用品種と比較したところ、生産額および所得は最も高い(表3)。一方、限界所得は「ソフトタッチ」と同程度の1,400千円で、植え付け可能面積は64aである(図1)。

成果の活用面・留意点

  • 「ジュリオスター」の5月中旬処理秋実は、果実が品薄である9月下旬~10月上旬にかけて収穫できる。
  • 花芽誘導処理は、エテホン液剤(成分として2-クロロエチルホスホン酸10%)を3%尿素液で1000倍に希釈し、30ml/株を健全で草丈の大きい未出蕾株の葉芯部に施用する。
  • 「ジュリオスター」は吸芽が少ないため、株出し栽培は適さない。
  • この収穫体系では、秋期に収穫と植え付けが競合し、植え付け可能面積が制約されることから、栽培規模を拡大する際は、エテホン液剤を用い自然夏実の比率を高めることや、収穫期の異なる品種を組み合わせ、作業を分散して栽培する必要がある。

具体的データ

表1

表2

表3

図1

(正田 守幸、崎山 澄寿)

その他

  • 研究課題名: 沖縄県北部特産果実等の高品質安定生産技術の確立
  • 予算区分: 受託(沖縄対応特別研究)
  • 研究期間: 2007~2009年度
  • 研究担当者: 正田 守幸、崎山 澄寿、竹内 誠人、仲宗根 正弘、恩田 聡、山城 梢