要約
慣行の開心自然形と比較して、栽植本数の多い垣根仕立で、育成期間中は、土地面積あたり葉数の指標である葉面積指数(LAI)が大きくなり、収量が高い傾向にある。
- キーワード: ハウスミカン、垣根仕立、LAI、収量
- 担当: 大分県農林水産研・果樹・温州ミカンチーム
- 代表連絡先:Tel:0978-72-0407
- 区分: 九州沖縄農業・果樹
- 分類: 技術・参考
背景・ねらい
樹齢の進んだハウスでは、縮間伐と樹形改善で受光態勢は改善されても、土地面積あたり葉数(≒葉面積指数:LAI)は一時的に減少するので、多収化には数年を要することが推察される。そこで、主に高樹齢ハウスの改植を想定した垣根仕立法を検討し、早期安定多収技術の確立を図る。
成果の内容・特徴
- 育成1年目は慣行の開心自然形に準じた枝梢管理を行い、2年目に簡易なフェンス(支柱とロープ等)に誘引する。
- 初期のLAIは、概ね栽植本数が多いほど値が大きくなり、垣根仕立区で開心自然形区よりも土地面積あたり葉数が多い傾向である(図1)。
- 果実品質は、垣根仕立区および開心自然形区とも収穫果Brix12以上、滴定酸1.0%以下である(表1、表2)。
- 収量は、開心自然形区よりも垣根仕立区で収量が多くなる傾向にある(表1、表2)。
- 剪定には庭木用の刈り込み鋏を使用せず、一般的な剪定鋏を用い、樹冠下部に光があたることを最優先し、切り返し主体の剪定を行う。
- 低樹高による省力化と良好な受光態勢の維持のため、縮間伐は行わない。
成果の活用面・留意点
- 露地よりも気温の高い周年被覆型ハウスで育成した宮川早生で調査している。2005年3月に2年生定植。
- 夏枝母枝型を対象としている。
- 育成時は、芽かきを徹底する。
- 垣根の列間1.5m区では、枝が繁茂した場合、作業性の低下が懸念される。
- デジタルカメラを用いた画像解析法などでLAIの数値変動をモニタリングし、目標収量に達した時点で加温栽培を開始することが望ましい。
具体的データ
(矢野 拓)
その他
- 研究課題名: ハウスミカンの高生産・低コスト生産技術
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2005~2009年度
- 研究担当者: 矢野 拓、川野 達生