九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

作業負担が軽く、収量が高いスターフルーツの「らくらく仕立て法」

要約

「トレリス垣根仕立て+側枝下ろし仕立て(以下、らくらく仕立て)」は、スターフルーツの施設栽培において作業軽減が図れ、栽培初期から高い収量が得られる。

  • キーワード: らくらく仕立て、スターフルーツ、樹形、高収量、作業軽減
  • 担当: 沖縄農研・名護支所・果樹班
  • 代表連絡先: Tel:0980-52-0052
  • 区分: 九州沖縄農業・果樹
  • 分類: 技術・参考

背景・ねらい

スターフルーツの一般的な仕立て法である棚仕立ては、せん定、誘引、収穫等の作業において、腕を上げた状態や顔を上に向けた状態が長時間継続する。このため、首、肩、腕への負担が大きい。そこで施設栽培において作業負担が軽く、安定生産の図れる仕立て法を検討する。

成果の内容・特徴

  • らくらく仕立ては、棚仕立て(図1)より樹形の完成がわずかに遅れるものの(図2)、栽培初期から収穫があり、収量が多い(図3)。
  • らくらく仕立ての作業姿勢は、棚仕立てと比べ上肢高さが肩より低く、正面向きの作業が多いため作業負担が軽い(図4)。

成果の活用面・留意点

  • スターフルーツを新たに経営品目に加える方や樹の更新を行う既存農家を中心に、樹形の参考として提案する。
  • 本試験の供試品種は、大玉甘味系の「B-10」を用いた。
  • 10aの栽植本数は、棚仕立て111本、らくらく仕立て166本とした。
  • 10a当たりの作業時間は、棚仕立てで32時間/1年目、96時間/2年目、112時間/3年目となるのに対し、らくらく仕立てで37時間/1年目、126時間/2年目、153時間/3年目となり、らくらく仕立ての方が多くなる。
  • らくらく仕立ては、主枝を地面と平行に配置するため、樹形完成後、最初に設定する下段の主枝より、最後に設定する上段の主枝が強くなる傾向が見られる。そこで下段の主枝の先端をやや上方にあげた状態で配置する必要がある。
  • 本試験は、樹形完成までの若木でのみ検討を行っている。主枝の段数は、栽培初期の収量を高めるために3段としているが、生長に伴った樹勢や着果状況の変化に応じて2段以下への樹形改造について考慮する。

具体的データ

図1

図2

図3

図4

 

(高橋 健、松村 まさと)

その他

  • 研究課題名: 沖縄県北部特産果実等の高品質安定生産技術の確立
  • 予算区分: 沖縄対応(沖縄対応特別研究)
  • 研究期間: 2007~2009年度
  • 研究担当者: 松村 まさと、松田 昇、島袋 清香、伊地 良太郎、仲宗 根智、牧志 佑子