九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

チュウゴクナシ「雪花梨」花粉の発芽率を高めるための温湿度条件

要約

冷凍庫から出した「雪花梨」花粉を温度5°C、湿度80%の環境に置くことで6時間後には花粉の発芽率が約80%となり、その後7日間は70%以上と十分に高く保つことができる。

  • キーワード : ナシ、授粉、貯蔵花粉
  • 担当 : 佐賀果樹試・落葉果樹研究担当
  • 代表連絡先: Tel:0952-73-2275
  • 区分: 九州沖縄農業・果樹
  • 分類: 技術・普及

背景・ねらい

ニホンナシの授粉では花粉採取の労力を省くためチュウゴクナシ「雪花梨」花粉の利用が増加している。通常この花粉は中国から輸入されて授粉に利用されるまでの間、冷凍・乾燥状態で貯蔵されており、冷凍庫から出してすぐは発芽率が非常に低い。そこで発芽率が上昇しやすい最適な温度と湿度の条件について検討する。

成果の内容・特徴

  • 温度5°Cの下では、湿度80%以上の条件で1日後に発芽率が80%程度まで上昇し、8日後まで発芽率を維持するが、湿度100%の条件では6日後に急激に低下する。(図1)
  • 湿度80%の下では、各温度条件下で試験開始から6時間後には発芽率がピークに達する。10°C、20°Cでは3日後以降発芽率が低下するが、温度5°Cではピーク後の低下が緩やかで、7日後も70%ほどの発芽率を保つ。(図2)
  • 温度5~10°C、湿度80%の環境条件を簡易に設定する場合の方法。(図3)
    (1)授粉を行う1日前に冷凍庫から花粉を取り出す。
    (2)使用する分量の花粉を小分けにして新聞紙等で包む。
    (3)保冷剤を水で湿らせたタオルで巻く。(タオルは固く絞っておくこと)

    (4)クーラーボックスの中にタオルで巻いた保冷剤を入れ、濡れないようビニール等を敷いた上に花粉を置いておく。

成果の活用面・留意点

  • 花粉は-30°Cの冷凍庫で乾燥剤とともに2年間貯蔵したものを利用した。
  • 2日以上入れておく場合には、温度の上昇と過湿を防ぐため保冷剤とタオルは1日毎に交換する必要がある。

具体的データ

図1

図2 

図3

その他

  • 研究課名 : ナシの溶液授粉機を用いた省力化技術の開発
  • 予算区分: 県単
  • 研究期間: 2002~2006年度