要約
光センサー選果データで果実糖度の水準が異なるシートマルチ栽培極早生ウンシュウ園地(高糖区、低糖区)の土壌理化学性は、土壌母材に関係なく低糖区は高糖区より腐植含量が少なく、透水性や土壌の気相率も低い。
- キーワード: 極早生ウンシュウ、光センサー選果データ、マルチ栽培、土壌理化学性
- 担当: 佐賀果樹試・常緑果樹研究担当
- 代表連絡先: Tel:0952-73-2275
- 区分: 九州沖縄農業・果樹
- 分類: 技術・参考
背景・ねらい
佐賀県では、極早生ウンシュウを中心に品質向上のためのシートマルチ栽培が広く取り組まれているが、年次による果実品質のばらつきや低糖度な果実生産が課題となっており、シートマルチ栽培の効果を決定する要因の解明が求められている。そこで、産地の土壌母材別に果実糖度の水準が異なる極早生ウンシュウ「上野早生」、「大浦早生」のシートマルチ栽培園地を抽出し、土壌理化学性の実態調査を行ってシートマルチ栽培の効果と土壌理化学性との関係を明らかにする。
成果の内容・特徴
- GISを利用することで園地の土壌母材が推定でき、さらに光センサー選果データを解析することで、土壌母材ごとに連年高糖度な園地群(高糖区)と低糖度な園地群(低糖区)が抽出できる(データ略、表1)。
- 土壌化学性は、各土壌母材ともに低糖区は高糖区より腐植含量が少なく、2%未満の低い値である(表1)。
- 土壌物理性は、各土壌母材ともに低糖区は高糖区より透水性と気相率が低い(表2)。
成果の活用面・留意点
- 糖度水準の低い園地で高品質果実を安定生産するためには、土作りとともにマルチ時期の早期化などシートマルチ栽培法の改善が必要である。
- 本成果は、光センサー選果データの活用の一例であり、さらに樹体栄養などの情報収集やGISの技術向上などにより、シートマルチ栽培の効果に影響を及ぼす他の要因をより詳細に解明できる。
具体的データ
その他
- 研究課題名: カンキツ園地情報の収集・解析に基づいた園地診断による総合的な栽培管理改善
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2004~2008年度