要約
不時開花などで花芽が著しく不足した樹に同品種の腋花芽を2月中旬に接ぎ木することで花芽の不足を補うことができる。結実した果実は大きさがばらつくものの、糖度やpHは平年と同等であるため収量の低下を抑えることが可能である。
- キーワード: ニホンナシ、腋花芽、花芽接ぎ
- 担当: 長崎果樹試・生産技術科
- 代表連絡先: Tel:0957-55-8740
- 区分: 九州沖縄農業・果樹
- 分類: 技術・参考
背景・ねらい
ニホンナシは秋季に台風などにより著しく落葉すると不時開花し、翌年の開花数が不足し、著しく収量が低下する。台湾ではニホンナシの自発休眠覚醒のための低温遭遇時間が少なく、休眠打破された穂木を側枝基部に花芽を接ぎ木し、果実を結実させているが果実は小さく、商品性は小さい。そこで不時開花した樹の側枝に樹型を乱さないように腋花芽を複数箇所腹接ぎし、当年結実させ、果実品質などについて検討した。
成果の内容・特徴
- 不時開花した枝に1穂当たり1花芽に調整した腋花芽を腹接ぎすると正常に開花、結実する(図1)。接ぎ木は2月中旬が適期で、時期が遅れると開花数、結実数は低下する(表1)。
- 着果量が3~5果/m2程度の着果密度では花芽接ぎした果実は台木の果実より大きい。着果密度が低い樹では1花芽当たり2果着果させたが台木の果実と比べ果実品質に大きな差はみられず、果実重は大きい(表2)。
- 穂木の直径が5~10mmであれば穂木の大きさと果実重に相関はない(図2)。
成果の活用面・留意点
- 果実重が大きくばらつくので注意する。
- 接ぎ木する時期に注意する。
- 結果率が低くなるが摘果で対応可能である。
- 側枝の基部から先端に数カ所腹接ぎ(剥ぎ接ぎ)した結果である。
具体的データ
その他
- 研究課題名: 新整枝法による落葉果樹管理作業の軽労化と多収技術の開発
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2005~2007年度