要約
加温施設栽培の「不知火」で、葉が黄化・落葉する症状が発生した園の葉や土壌および潅漑水のホウ素濃度は、健全園に比べ高い。本症状は潅漑水を替えると葉中のホウ素濃度が減少し、症状が軽減されることから、潅漑水によるホウ素過剰症である。
- キーワード: 不知火、施設栽培、ホウ素、過剰症、潅漑水
- 担当: 熊本農研セ果樹研・病虫化学研究室
- 代表連絡先: Tel:0964-32-1723
- 区分: 九州沖縄農業・果樹
- 分類: 技術・参考
背景・ねらい
県内の一部地域の加温施設栽培「不知火」において、2003年の生育期間中に葉が黄化・落葉する症状が発生し、数年後には、周辺の複数の園地で同様の症状が確認された。そのため、樹体、土壌、潅漑水を調査し、その発生原因を解明する。
成果の内容・特徴
- 6、10、1月の葉中ホウ素濃度と黄化症状の発生は、高い正の相関がある。黄化症状発生は葉中ホウ素濃度が200ppm以上になると発生が激しくなる(表1)。
- 黄化症状発生が甚しい園地の潅漑水は、ホウ素濃度が約1~3ppmの範囲にあり、これによって葉の黄化・落葉(ホウ素過剰症)が誘発されたといえる(表2)。
- 潅漑水を替えた4ヶ月後には、黄化症状が軽減され健全葉が増加し、葉中および土壌中のホウ素濃度は減少する(表2、図2)。
成果の活用面・留意点
- 一般的にホウ素過剰症は、ホウ素の過剰施用や土壌pHの酸性化で発生しやすいので注意が必要である。
具体的データ
その他
- 研究課題名: カンキツ、落葉果樹の生産予測と栄養動態の解明
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 1957~2007年度