九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

モモのトンネルハウス栽培では晩霜対策が可能である

要約

モモのトンネルハウス栽培では、晩霜の被害を受けやすい開花直前から結実期にストーブ等による施設内の晩霜対策が可能であり、露地栽培に比べて被害を軽減することができる。

  • キーワード: モモ、施設栽培、トンネルハウス、晩霜対策
  • 担当: 熊本県農研セ・球磨研
  • 代表連絡先: Tel:0966-45-0470
  • 区分: 九州沖縄農業・果樹
  • 分類: 技術・参考

背景・ねらい

モモにおける開花直前から結実期の晩霜(-2°C以下の低温)は、花や樹体に障害を与えやすく(福島県調査)、特にトンネルハウス栽培では、露地栽培に比べて開花期が早いため被害を受けやすい。そこで、2007年4月4、5日の晩霜襲来時における、トンネルハウス栽培での晩霜対策の有効性について検証する。

成果の内容・特徴

  • トンネルハウスの規格は、平棚栽培の棚面上にアーチを設置した簡易なパイプハウス、サイドフィルムはカーテン式である〔間口4m連棟、アーチ高110cm、被覆資材ポリエチレンフィルム(厚さ:0.075mm)〕。
    晩霜対策の方法は、自然通気形開放式石油ストーブ〔燃料:灯油(タンク容量7リットル)、最大燃料消費量:0.5リットル/h、暖房出力:5.62kW〕を施設面積2aのトンネルハウス内中央に1機設置し、午後10時から午前8時まで燃焼させた。燃焼日は、3月7日から4月18日までの低温注意報が発表された16日間である。
  • ストーブによる晩霜対策を実施しなかった日(4月2日)の露地栽培と比べたトンネル栽培の保温効果は、約1°Cである(データ略)。
  • 晩霜襲来時においては、露地栽培では最低気温が-5.2°Cであったのに対し、ストーブによる晩霜対策を実施したトンネルハウス栽培での最低気温は、ハウス中央部が-1.5°C、ハウス内の端部が-3.4°Cであり、気温の低下を軽減することができる(図1)。
  • 着果率(5月25日時点)は、対策をしなかった露地栽培で1.5~6.5%であったのに対し、対策を実施したトンネルハウス栽培では27.6~39.7%であり、摘果できる十分な着果数を得ることができる(表1)。
  • 露地栽培における1樹当たりの商品果実の収量は非常に少なかったが、晩霜対策を実施したトンネルハウス栽培では30kg以上であり、ほぼ平年並みの収量を得ることができる(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 晩霜襲来時の満開後日数は、トンネル栽培で「はなよめ」11日、「日川白鳳」8日、露地栽培で「はなよめ」6日、「日川白鳳」3日であり、生育ステージは落花後10日程度の幼果期であった。この生育ステージでの危険限界温度は-2°C以下である(福島県調査)。

具体的データ 

図1

表1

表2

 

その他

  • 研究課題名: 早生モモの施設栽培における低コスト・安定生産技術開発
  • 予算区分: 県単
  • 研究期間: 2003~2007年度