要約
早生ウンシュウの越年完熟栽培で着色直前にジベレリン2.5ppmとプロヒドロジャスモン50ppmを混用処理すれば、浮皮やクラッキング、水腐れなどの果皮障害の発生を無処理の50%以下に軽減でき、緑斑残りや褐色斑点状の薬害発生もほとんどない。
- キーワード:早生ウンシュウ、ジベレリン、プロヒドロジャスモン、果皮障害、薬害
- 担当:佐賀上場営農セ・研究部・畜産果樹研究担当
- 代表連絡先: Tel:0955-82-1930
- 区分:九州沖縄農業・果樹
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
早生ウンシュウを年明けの1月以降に収穫する越年完熟栽培は、高糖度で食感もよく高価格が期待できるため、取り組みが増えている。しかし、浮皮、クラッキング、水腐れなどの果皮障害の発生が著しく、商品率の低下が問題である。そこで、植物調節剤であるジベレリン(GA)およびプロヒドロジャスモン(PDJ)を用いた果皮障害の抑制法を開発する。
成果の内容・特徴
- 着色直前のGA5ppm単用処理、GA2.5ppmとPDJ50ppmの混用処理と完全着色期のGA2.5ppm単用処理、GA5ppm単用処理で浮皮、クラッキング、水腐れを無処理の50%以下に軽減できる(図1)。
- 果皮の一部に緑斑が残り、収穫まで着色しない緑斑残りの発生はGA単用処理で顕著であり、PDJ50ppmの混用処理で約1/2に低減できる(表1、表2)。
- 果皮の褐色斑点状の薬害は、GA濃度が高くなると著しくなる傾向である(表2、図2)。
- 従って、緑斑残りや薬害の発生が少なく、果皮障害を50%以下に軽減できる処理時期と濃度は、着色直前のGA2.5ppmとPDJ50ppmの混用処理である。
成果の活用面・留意点
- みかんの浮皮軽減で、GA3.3~5ppmとプロヒドロジャスモン25~50ppmの混用処理を適用拡大申請中である。
- 越年完熟以前の収穫では着色遅延の影響が残るため、果皮色が薄くなりやすいが、糖度や酸度に影響はない。
具体的データ
その他
- 研究課題名:上場土壌の特長を生かした完熟みかん生産技術の確立
- 予算区分:県単
- 研究期間:2003~2007年度
- 研究担当者:中島貞彦
- 発表論文等:中島・岩城 (2007) 園芸学会九州支部研究集禄 16:8
中島・岩城 (2008) 園芸学会九州支部研究集禄 17:78