要約
ウンシュウミカンの果実肥大初期において、硬質プラスチックフィルムを加工した用具で、果実肥大を円周として簡易に測定でき、測定値が高品質果実生産のための土壌水分管理指標として利用できる。
- キーワード:ウンシュウミカン、果実肥大、簡易測定法
- 担当:大分農林水産研果樹・常緑果樹担当
- 代表連絡先: Tel:0978-72-0407
- 区分:九州沖縄農業・果樹
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
シートマルチ栽培ウンシュウミカンの土壌水分管理のための指標としては、プレッシャーチャンバーで樹体の水分ストレスを測定する方法が有効であるが、測定機器が高価で,測定時刻も限定されることから、生産現場で使用するのは困難である。
生産現場では、土壌水分管理の指標として糖度(Brix)や酸含量を用いているが、果実肥大初期の果汁発現以前では測定できない。
一方、期間中の果実肥大量を水分ストレスの指標とする方法が明らかにされているが、果実生育期の肥大をノギスで定期的に測定する必要がある。そこで、より簡易な方法として硬質プラスチックフィルムを加工した用具を取り付けて果実肥大を測定する方法を開発する。
成果の内容・特徴
- 果実肥大初期(7月15日~8月5日)の肥大量と糖度は高い負の相関を示す(図1)。
- 果実の横径と赤道面の外周は高い正の相関を示す(図2)。
- 生産現場で実施できる果実肥大の簡易測定法として、硬質プラスチックフィルムを熱処理して丸めたものを、果実の赤道面に取り付けることにより、果実肥大が簡易に測定できる(写真1)。
成果の活用面・留意点
- 厚さ0.15mmの硬質プラスチックフィルムを幅20mm程度に切り、果実の直径と同程度の鉄パイプに巻き付け100°C1時間程度熱処理すると測定用具ができる。
- 1樹あたり10個程度を果実の赤道面に取り付け、フィルムが重なる部分の境目に印を付け、5~10日間隔で肥大量を測定し、日肥大量を算出する。
- 設置前に硬質プラスチックに目盛りをつけておくと、さらに簡便に測定できる。
具体的データ
その他
- 研究課題名: 温州ミカンの高品質・省力技術
- 予算区分:県単
- 研究期間:2005~2008年度
- 研究担当者:吉田智也、山﨑礼一