要約
シィクワーサーの新品種「仲本シードレス」は種なしで早生の品種である。8~9月には料理用、9月以降は加工用として、12月には生食用に適している。
- キーワード:シィクワーサー、種なし、早生、料理用、加工用、新品種
- 担当:沖縄県農研セ・名護支所・果樹班
- 代表連絡先: Tel:0980-52-0052
- 区分:九州沖縄農業・果樹
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
沖縄県の特産果樹であるシィクワーサーは、優れた芳香と機能性成分を有した香酸カンキツで、料理用(青切り)、加工用及び生食用(完熟)果実として消費されている。しかし、用途によっては種子が多いことや果実が小さいことなどの問題点がある。そこで、1975年頃から1998年まで沖縄県全域で収集した有望と思われる在来カンキツの遺伝資源75系統を調査し、優良系統を選抜する。
成果の内容・特徴
- 1960年頃に沖縄県名護市の仲本氏の園地から「勝山系統」の偶発実生として種なしシィクワーサーが発見された。1981年2月に沖縄県農業試験場名護支場(現:沖縄県農業研究センター名護支所)に仲本氏から穂木を導入した。2006年から品種登録に向けた調査を開始し、2009年3月に「仲本シードレス」として品種登録された。
- 「仲本シードレス」の種子数は「大宜味系統」に比べて、極めて少ない。また、果形は扁平である(表1)。
- 樹勢は「大宜味系統」に比べて弱い。かいよう病およびそうか病抵抗性は同程度である(表1)。
- 料理用果実として概ね果実横径30mm以上、果汁量5ml以上、クエン酸6%以上が好ましく、8、9月は料理用果実として適している(図1、図2、図3、図4)。
- 9月以降は果実横径および果汁量が増加し、種子もないため加工用として優れている(図1、図2)。
- 「大宜味系統」に比べて成熟期に減酸が早く、12月は1%以下となり、Brixも9%と「大宜味系統」と同程度であることから、生食用として利用可能である(図3)。
成果の活用面・留意点
- 種がないため、料理用(青切り)として有利に販売できる。
- 沖縄県内の利用に限る。
- 樹勢は「大宜味系統」に比べてやや弱く、樹形をコンパクトに仕立てることが可能なことから、管理作業の軽労化が図られる。
- ジャーガル、島尻マージ(アルカリ性土壌)地域で栽培するにはシィクワーサー台木が適している。
- 2007年に仲本氏から沖縄県へ種なしシィクワーサーの権利が譲渡された。
具体的データ
その他
- 研究課題名:シィクワーサーの優良系統の果実特性調査
- 予算区分:県単
- 研究期間:2008~2010年度
- 研究担当者:比嘉淳、瑞慶山浩、粟國佳史、金城秀安、井上裕嗣、恩田聡、河野伸二、浦崎直也、新崎正雄