要約
加温ハウスの省エネ対策として、二重被覆フィルムの間に界面活性剤溶液泡沫を夜間充填することにより、約30%の省エネ効果が認められる。
- キーワード:加温ハウス、省エネ、界面活性剤溶液泡沫
- 担当:大分農林水産研果樹・常緑果樹担当
- 代表連絡先: Tel:0978-72-0407
- 区分:九州沖縄農業・果樹
- 分類:研究・参考
背景・ねらい
近年、原油価格の乱高下により、施設園芸の経営が不安定となり、燃料コストの削減が求められている。また、気候温暖化対策として化石燃料による炭酸ガス排出量の削減も求められている。そこで、加温ハウスの省エネ対策として、二重に被覆したフィルムの間に市販の界面活性剤溶液泡沫を夜間充填することにより保温性を高め、燃料消費量を削減する。
成果の内容・特徴
- 5°Cに設定した冷蔵庫の中に、厚さ50mmの発泡スチロールで作った蓋のない箱(W82cm・D81cm・H50cm)を入れた。箱の上面は50cm間隔で厚さ0.075mmのPOフィルムを2枚張り、その中に厚さ30cmになるよう界面活性剤溶液泡沫を充填した。
箱の中は25°Cに加温し、泡沫の上部と下部の温度を測定した結果、泡沫なし(対照)と比べて温度差が大きくなり、保温効果の向上が認められた。(図1)。 - 温水(約80°C)を入れた容器の30cm上にポリエチレンフィルムを張り、その上に界面活性剤泡沫を乗せ、放射温度計で泡沫の上10cmからを測定すると、大幅に熱放射を抑制することが明らかとなった(図2)。
- 加温ハウスの二重に被覆したフィルムの間に、市販の界面活性剤1%溶液泡沫を夜間充填することにより燃料消費量は約30%削減できた(写真1、図3)。
成果の活用面・留意点
- 界面活性剤溶液は回収し、繰り返し使用し、液漏れがないよう細心の注意を行うこと。使用後は適正に処理する。
- 泡沫は高低差が大きい場合、気泡の小さい密度の高い泡沫は下部に移動し、気泡が大きく密度の低い泡沫は上部に移動し、密度の差が大きくなる。さらに、密度の低い泡沫は破裂し、空隙が発生しやすくなる。
具体的データ
その他
- 研究課題名:界面活性剤溶液泡沫被覆による加温ハウスの省エネ効果
- 予算区分:県単
- 研究期間:2009年度
- 研究担当者:吉田智也