九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

ジャーガルにおける暗渠と心土破砕を組み合わせた排水対策

要約

排水不良のジャーガル地帯では、5m間隔で暗渠を設置し、さらに暗渠に直交する心土破砕を行うことで雨水の地下浸透が促進され、降雨量の約40%を暗渠から排出できる。また、このような排水改善により野菜類の収量向上が期待できる。

  • キーワード: ジャーガル、排水不良、心土破砕、暗渠、オクラ
  • 担当: 沖縄農研セ・土壌環境班
  • 代表連絡先: Tel:098-840-8503
  • 区分: 九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)
  • 分類: 技術・参考

背景・ねらい

沖縄本島中南部地域に広く分布するジャーガルは、モンモリロナイトを主体とする粘土含量の高い土壌であるため物理性が不良で、特に排水性が悪く、降雨後長時間高水分含量を持続し、トラクター等の機械使用は困難である。また、排水不良地では湿害のため作物の根腐れ症が多発し、生育不良による収量・品質への悪影響は大きい。その対策として、10m間隔で暗渠施工されているが、排水改善効果が認められないほ場もある。

そこで、暗渠間隔や排水改善方法としての心土破砕の効果等を検討し、ジャーガルにおける排水対策技術の基礎資料とする。

成果の内容・特徴

  • 暗渠の構造は、50~90cm深まで幅30cmで疎水材(スーパーソル)を詰め、さらに90~120cm深までコンクリート用バラス砕石(粒径20~40mm)を詰め、その中に有孔管(直径75mm)を設置する(図1)。
  • 暗渠からの排水率は、暗渠に対して直交方向に深さ50~60cm、1.3m間隔で心土破砕を行うことで、心土破砕なしと比較して2倍以上となる(表1)。
  • 暗渠5m間隔に心土破砕を組み合わせた場合は、5月から12月までの8ヶ月間で降雨量の40%以上を排出する(表1)。
  • 暗渠に心土破砕耕を組み合わせると、作土層下部(深さ20cm)でも体積含水率が35%以下となり無処理区に比べ低く、排水改善が期待できる(図2)。
  • 暗渠5m間隔に心土破砕耕を組み合わせることによって、暗渠なし(無処理)や心土破砕単独よりもオクラの商品果収量は高くなる(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 心土破砕は、ジャーガルのような重粘土壌では、80馬力以上のトラクタにより施工する必要がある。
  • 心土破砕は、排土型心土破砕機を使用することにより、持続した効果が期待できる(半年間は確認済み・データ省略)。

具体的データ

図1

表1

図2

図3

(比嘉 基晶)

その他

  • 研究課題名: ジャーガルにおけるほ場排水対策
  • 予算区分: 県単
  • 研究期間: 2007~2009年度
  • 研究担当者: 比嘉 基晶、崎間 浩、國吉 清、儀間 靖