九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

アスパラガスに対する秋期窒素追肥の吸収特性

要約

半促成長期どりアスパラガスは、10月初旬以降の追肥でも42~60%程度の利用率で窒素を吸収しており、11月中下旬の窒素追肥は春芽に多く利用される。

  • キーワード: アスパラガス、追肥、重窒素、利用率、春芽
  • 担当: 長崎農技セ・農産園芸研究部門・野菜研究室
  • 代表連絡先: Tel:(代表)0957-26-3330
  • 区分: 九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)
  • 分類: 研究・参考

背景・ねらい

アスパラガスの春芽は、茎葉から貯蔵根へ転流された養分で出芽すると一般的に言われており、茎葉の黄化促進のために立茎葉(夏芽)への追肥は栽培暦では9月末~10月初旬までとなっている。しかし、それ以降の窒素追肥の効果や吸収の有無について十分な解明がなされていない。そこで、10月以降の追肥が春芽に利用されるのかを明らかにするために、重窒素(15N)標識肥料を用いたポット試験を行い窒素吸収特性を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 半促成長期どりアスパラガスへの10月以降の追肥の利用を明らかにするために、9月22日以降、約20日間隔で追肥を行い、各追肥時期に重窒素(15N)標識肥料を用いて窒素吸収特性を明らかにする処理である(表1)。
  • 半促成長期どりアスパラガスにおける9月22日および10月10日施用の窒素肥料は、12月に枯死する立茎葉に多く利用される。
  • 10月31日や11月21日の追肥は枯死する立茎葉には利用が少なく、11月21日施用では春芽(若茎)に多く利用される(表2)。
  • 重窒素標識肥料の施肥窒素利用率は、総計で42~60%であり、11月21日の追肥でも吸収され春芽に多く利用される(表3)。

成果の活用面・留意点

  • 土壌表面積0.18m2×土壌深0.4mのポットを用いた。
  • 耕種概要:品種「ウェルカム」2年生株、定植2008年4月20日、枯死茎葉全刈2009年1月8日、保温開始2009年2月5日、収穫期間2009年2月16日~5月1日、立茎終了2009年5月31日、立茎葉および根と鱗芽解体調査2009年6月1日。
  • 半促成長期どりアスパラガスでは、晩秋期の追肥でも吸収があり、春芽(若茎)に多く利用されているという結果が得られたため、春芽収量への影響を圃場試験で現在検討中である。

具体的データ

表1

表2

表3

(長崎県農林技術開発センター)

その他

  • 研究課題名: アスパラガスの春芽に対する適正肥培管理の確立
  • 予算区分: 国庫
  • 研究期間: 2008~2009年度
  • 研究担当者: 生部 和宏、大井 義弘