九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

鹿児島県における水田土壌の可給態ケイ酸含量と稲体ケイ酸含有率

要約

成熟期における水稲の茎葉中ケイ酸含有率は、土壌の可給態ケイ酸含量を反映し、姶良地域の灰色低地土や鹿屋地域の多湿黒ボク土では高く、出水干拓のグライ土では低い。

  • キーワード: 水田、可給態ケイ酸含量、茎葉中ケイ酸含有率
  • 担当: 鹿児島農総セ・生産環境部土壌環境研究室
  • 代表連絡先: Tel:099-245-1156
  • 区分: 九州沖縄農業・生産環境・土壌肥料
  • 分類: 研究・参考

背景・ねらい

水稲に対するケイ酸の効果として、病害虫抵抗性、耐倒伏性及び収量性の向上などがこれまで報告されており、本県においてもケイ酸質資材の施用を推奨している。しかし、その効果は土壌や地域により異なると考えられるが必ずしも明らかではない。そこで、水稲の茎葉中ケイ酸含有率に及ぼす土壌の可給態ケイ酸含量の影響について、土壌間差や地域間差を明確にし、ケイ酸質資材の効果的な施用技術開発に資する。

成果の内容・特徴

  • 出水干拓(グライ土)における土壌中の可給態ケイ酸含量は、姶良地域(灰色低地土)の1/3程度、鹿屋地域(多湿黒ボク土)の1/2程度と低い(図1)。
  • 成熟期の茎葉中ケイ酸含有率が11%以下では、収量や病害に対してケイ酸石灰施用の肥効が高いとされている(今泉ら、1958)。そのため、出水干拓では茎葉中のケイ酸含有率は11%を大きく下回ることから、ケイ酸質資材の施用効果が期待される(表1)。
  • 土壌中の可給態ケイ酸含量の違いは茎葉中のケイ酸含有率に反映する。そのため、茎葉中のケイ酸含有率は姶良地域の灰色低地土では高く、出水干拓のグライ土では低い(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 水稲へのケイ酸供給源としては、土壌の他に灌漑水が考えられる。潅漑水ケイ酸濃度(SiO2mgL-1)は以下のとおり。出水干拓:12.4(採水日2009年10月6日)、姶良地域(姶良市蒲生町):32.8(7月30日)、鹿屋地域(鹿屋市野里町):38.7(7月30日)。
  • 参考文献「水田土壌の珪酸供給力に関する研究」農業技術研究所報告B化学(P.261~304)

具体的データ

図1

図2

表1

図3

 

(鹿児島県農業開発総合センター)

その他

  • 予算区分: 県単
  • 研究期間: 2009年度
  • 研究担当者: 餅田 利之、有村 恭平