九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

水稲「にこまる」の全量基肥栽培に適した被覆尿素肥料

要約

水稲「にこまる」の全量基肥栽培において、被覆尿素肥料と速効性窒素肥料を1:1で配合し施肥する場合の被覆尿素肥料は、100日タイプよりも120日タイプを用いた方が、千粒重、玄米収量が優れる。

  • キーワード: 水稲、にこまる、千粒重、被覆尿素、全量基肥、細粒灰色低地土
  • 担当: 長崎総農林試・環境部・土壌肥料科
  • 代表連絡先: Tel:0957-26-3330
  • 区分: 九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)
  • 分類: 技術・参考

背景・ねらい

新しく奨励品種に採用された「にこまる」は、高温登熟性に優れた良食味品種として注目され、長崎県では2004年に奨励品種に採用し、2006年より本格普及に入っている。
当該品種に対して、本県県央平坦部で広く普及している全量基肥施肥については、既存のヒノヒカリ用全量基肥肥料を利用しているが、穂肥相当分の100日タイプのシグモイド型被覆尿素肥料では「にこまる」の生育相よりも早い溶出となっていると考えられる。そこで、これを120日タイプのシグモイド型被覆尿素肥料に変更した場合の適応性について、現地で検討した。

成果の内容・特徴

  • 圃場埋設法での120日タイプのシグモイド型被覆尿素肥料の窒素溶出量は、幼穂形成期以前に20~40%程度と、100日タイプの40~70%程度に比較して少なく、穂肥の効果が高い(図1、図2)。
  • 120日タイプのシグモイド型被覆尿素肥料を使用すると、100日タイプと比較して、千粒重および収量が向上する(表1)。
  • 120日タイプのシグモイド型被覆尿素を使用すると、100日タイプと比較して、白未熟粒発生率が低く、検査等級は2007年ではやや優れる(表1)。
  • 120日タイプのシグモイド型被覆尿素肥料を使用すると、100日タイプを使用した場合と比較し、玄米タンパク含有率はやや増加し、分施と同等となる(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 6月5半旬移植の県央平坦部(諫早市小野)において、全層施肥により試験した結果である。移植時期が異なる場合や、地温が大きく異なる中山間地域では、窒素溶出パターンが大きく異なることが予想されるため、別途、調査が必要である。
  • 土壌は、細粒灰色低地土である。作前土壌の分析値は、T-N0.23%、CEC27.6me/100g可給態窒素7.2mg/100g(2カ年平均)である。

具体的データ

図1

図2

表1

耕種概要 

その他

  • 研究課題名: 水稲栽培における被覆肥料の効率的施肥技術確立試験
  • 予算区分 :受託
  • 研究期間: 2006~2007年度