要約
小粒大豆品種「すずかれん」は、成熟期が「すずおとめ」よりやや遅く、「フクユタカ」より早い"晩生の早"で、「すずおとめ」より百粒重がやや大きく、多収である。葉焼病及びハスモンヨトウに強く、収量の安定が見込まれることから、「すずおとめ」に替えて熊本県で認定品種に採用する。
- キーワード: 小粒大豆、葉焼病、ハスモンヨトウ
- 担当: 熊本県農研セ・農産園芸研・作物研究室
- 代表連絡先: Tel:096-248-6444
- 区分: 九州沖縄農業・水田作
- 分類: 技術・普及
背景・ねらい
現在、熊本県における大豆の作付は約2,600haであり、そのうち約30haに納豆用として小粒品種「すずおとめ」が栽培されている。本品種は学校給食用として安定した需要が見込まれるが、近年では葉焼病による収量低下が問題となっているため、早急な対策が望まれている。そこで、「すずおとめ」に比べて葉焼病に強く、納豆加工適性の高い小粒大豆品種を選定する。
成果の内容・特徴
「すずかれん」は九州沖縄農業研究センターにおいて、「九州129号」(のちの「すずおとめ」)と「IAC100」の交配により育成された大豆品種である。「すずかれん」の熊本県における特性は、「すずおとめ」と比較して以下のとおりである。
- 開花期が2~4日遅く、成熟期が2~8日遅い"やや晩"である。ただし、「フクユタカ」より成熟期が10日程度早く、収穫期の分散が可能である(表1)。
- 主茎長はやや短く、耐倒伏性は同等である(表1)。
- 子実重は多く、「フクユタカ」に近い(表1)。
- 最下着莢節位高は同等で、「フクユタカ」より低い(表1)。
- 子実の粒大はやや大きく、外観の品質は同等である(表1、表2)。
- 葉焼病抵抗性は"強"、ハスモンヨトウ抵抗性は"やや強"で、どちらも強い(表3)。
- 納豆加工適性は同等である(表4)。
成果の活用面・留意点
- 平成23年より認定品種として採用予定。24年産より「すずおとめ」に替えて約30haの作付を予定している。
- 最下着莢節位高が「フクユタカ」より低いため、コンバイン収穫時における汚損粒の発生に留意する。
具体的データ
(熊本県農研センター農産園芸研究所)
その他
- 研究課題名: 大豆奨励品種決定調査
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2009~2010年
- 研究担当者: 渡邉 美弥子、橋本 充、林田 裕樹、中嶋 祐二、三ツ川 昌洋、坂梨 二郎