九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

大豆の倒伏時期が異なる場合の減収程度

要約

大豆において開花期以降に人為的に倒伏処理を行うと、収量に最も影響する倒伏時期は子実肥大期(9月下旬)で、m2当たり粒数の減少により約3割減収する。

  • キーワード:大豆、倒伏、減収、子実肥大期
  • 担当: 福岡農総試・農産部・栽培品質チーム
  • 代表連絡先: Tel:092-924-2937
  • 区分: 九州沖縄農業・水田作
  • 分類: 技術・参考

背景・ねらい

国産大豆は契約栽培による生産量の安定確保が実需者から求められている。その一方で、大豆の作柄は不安定であり、その主要因として台風の襲来等による倒伏があげられる。このため、大豆の倒伏が大きい年には減収率を予測し、集荷、販売計画を立て直すことが不可欠となっている。しかし、倒伏した大豆の減収程度を推定する尺度はなく、倒伏時期と減収率の関係も解明されていない。そこで、大豆の生育時期別に人為的に倒伏処理を行い、減収率との関係を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 大豆を開花期(8月下旬)、莢伸長期(9月上旬)、子実肥大期(9月下旬)に倒伏処理(図1)を行うと、減収率はそれぞれ14%、25%および28%である。その要因は総莢数の減少と不稔莢の増加にともなうm2当たり稔実莢数および粒数の減少である(表1)。
  • 9月上旬に襲来した2005年の台風第14号による大豆の減収率は48%で、その要因は総莢数の減少と不稔莢の増加にともなうm2当たり粒数の減少である(表2)。

 成果の活用面・留意点

  •  北部九州で大豆品種「フクユタカ」を用いた結果である。
  •  倒伏した大豆の減収程度を予測する際の資料となる。
  •  台風による減収推定の場合は、倒伏に加えて台風による落莢等も考慮する必要がある。

具体的データ

図1 

表1 

表2 

その他

  • 研究課題名: 大豆安定生産のための晩播栽培および耐倒伏性評価法の確立
  • 予算区分: 経常
  • 研究期間: 2007年度(2005~2007年)