要約
「(シャモ×横斑ロック)♂×ホワイトロック♀」による新交雑鶏は、産肉性能が現行のはかた地どりと同等で、傷付き個体の発生が少なく、むね肉の旨味成分量が高い。
- キーワード: 交配様式、産肉性能、旨味成分、地鶏
- 担当: 福岡農総試・家畜部・家きんチーム
- 代表連絡先: Tel:092-925-5232
- 区分: 九州沖縄農業・畜産・草地(中小家畜・畜産環境)
- 分類: 技術・普及
背景・ねらい
現行の「はかた地どり」(シャモ♂×ホワイトロック♀)は、平成15年頃から、育成時における傷付き個体の増加が問題となっているとともに、ブランド力を高めるための肉質の改良が求められていた。
そこで、農総試で供給可能な在来種♂系と「はかた地どり」生産孵化場で入手可能な肉専用種♀系を用いた組合せ交配により、飼いやすく、旨味成分に優れた、新しい県産地どり用交雑鶏を開発する。
成果の内容・特徴
- ♂系にシャモ×横斑ロック、♀系にホワイトロック種を交配した新交雑鶏は、現行のはかた地どり(シャモ♂×ホワイトロック♀)に比較して、生産指数は同等である(表1)。
- 新交雑鶏の傷付き個体率は、現行はかた地どりよりも大きく減少するため、飼いやすく、商品価値の高い個体の出荷量が増加する(表1)。
- 新交雑鶏のイノシン酸量は現行のはかた地どりより有意に約9%高く、より旨味成分量の高い肉質を持つ(表2)。スープを用いた官能評価において、有意差は無いが「現行型よりやや良い」の評価が最頻値となり、旨味の向上が伺われる(図1)。
成果の活用面・留意点
- 現行のはかた地どりを新交雑鶏に切り替えて、特定JASの認定を受け、平成22年秋から販売を開始している。
- 新交雑鶏は、つつき散らしによる飼料消費量の増加傾向が見られるため、孵化直後のデビークを必ず実施する。
具体的データ
(西尾 祐介)
その他
- 研究課題名: 新しい県産地どりの開発
- 予算区分: 県特(競争力を高める新品種・新技術開発)
- 研究期間: 2007~2009年
- 研究担当者: 西尾 祐介、福原 絵里子、小島 雄次、中村 由佳里