要約
固液分離した麦焼酎粕液部に乳酸菌を添加することで、常温でも3週間程度保存できる。また、肥育豚に麦焼酎粕液部を併用給与しても発育や肉質への影響はなく、年間を通じた給与が期待できる。
- キーワード: 未利用資源、焼酎粕、乳酸菌発酵、給与技術
- 担当: 大分農林水産研指畜産・豚・鶏チーム
- 代表連絡先: Tel:0974-22-0673
- 区分: 九州沖縄農業・畜産・草地(中小家畜・畜産環境)
- 分類: 技術・普及
背景・ねらい
焼酎粕は、大規模メーカーを中心として飼料化やメタン化が行われているものの、各地に散在する中小メーカーでは焼酎粕の有効利用が進んでいない。一方、畜産サイドでは、飼料費削減のため、食品残さ等の未利用資源の飼料利用が望まれている。そこで、麦焼酎粕の保存・給与方法を検討し、肥育豚に及ぼす影響を検討する。
成果の内容・特徴
- 固液分離した麦焼酎粕液部の粗蛋白質は、麦焼酎粕(生)より低い(表1)。
- 固液分離した麦焼酎粕液部に乳酸菌(サイレージ調製用混合飼料)を添加することでpHの上昇が抑制され、1ヶ月経過した麦焼酎粕液部の変敗臭は7月時の常温下でも認められない(図1)。
- 既存の配合飼料用の給餌器を改良することで、肥育豚に麦焼酎粕液部を給与することができる(図2、図3)。
- 麦焼酎粕液部の嗜好性は概ね良好で、下痢の発生は見られない。
- 麦焼酎粕液部を給与した肥育豚の1日当たりの増体量は、対照区と比べ差は認められないが、配合飼料の給与量をさげられる(表2)。
- 麦焼酎粕液部を1日当たり1L給与しても、肉質への影響はない(表2)。
成果の活用面・留意点
- 肥育豚へ麦焼酎粕を給与する場合の参考資料として活用できる。
- 麦焼酎粕の品質保持に留意し、変敗していないことを確認の上、給与する必要がある。
- 麦焼酎は初夏時の1ヶ月間程度製造されないため、乳酸菌を添加した麦焼酎粕を予め保管しておくか、他の焼酎粕等を確保する必要がある。
- 単飼で行った麦焼酎粕液部の給与試験では、個体ごとの嗜好性にバラツキが見られたため、群飼条件でも注意が必要である。
具体的データ
(秋好 禎一)
その他
- 研究課題名: 未利用資源の家畜飼料化に関する研究
- 研究課題名: 豚における焼酎粕(麦)の給与法及び肉質に及ぼす効果
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2008~2009年度
- 研究担当者: 吉田 周司、秋好 禎一、手島 久智