九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

黒毛和種肥育後期における飼料用米の籾粉砕30%を混合した飼料の給与技術

要約

籾粉砕した飼料用米を濃厚飼料に30%混合し、黒毛和種肥育牛の肥育後期に給与する。給与した飼料用米の嗜好性は良く、肉質および歩留は市販配合飼料を主体とする慣行的肥育飼料を給与した牛と同等の成績が得られる。

  • キーワード: 飼料用米、籾粉砕、黒毛和種、肥育
  • 担当: 宮崎県畜産試験場・肉用牛部
  • 代表連絡先: Tel:0984-42-4344
  • 区分: 九州沖縄農業・畜産・草地(大家畜)
  • 分類: 技術・普及

背景・ねらい

肉用牛肥育経営においては給与飼料の大半を輸入飼料に依存しており、飼料自給率を向上させる対応策の一つとして飼料用米の利用が注目されている。しかし、飼料用米は消化性が低いので、トウモロコシ圧ペン等の輸入穀物の代替として家畜に給与するためには、粉砕や圧ペン等の処理が必要であるといわれている。
そこで、飼料用米(モミロマン)を籾のまま4mm以下に粉砕して濃厚飼料と混合した飼料給与が黒毛和種肥育牛の発育および枝肉成績に及ぼす影響について検討する。

成果の内容・特徴

  • 黒毛和種去勢牛(1群3頭)の肥育後期(98週齢~出荷)に籾粉砕飼料用米をTDNベースで30%(現物ベースで33%)濃厚飼料に配合給与し、市販配合飼料を主体とする慣行的肥育飼料と比較した(表1)。
  • 籾粉砕飼料用米の混合給与は肥育後期においても慣行的肥育飼料と同等の摂取量であり、嗜好性も良い(表2)。
  • 肥育後期に飼料用米を給与すると、肥育終了時体重が760kg、DGが0.75kg/日、枝肉重量が480kgで、慣行的肥育飼料を給与した場合と比較して差がない(表2、表3)。
  • 肉質および歩留では、脂肪交雑でBMSNo.7、胸最長筋面積で65cm2およびばら厚で8.5cmが期待できる(表3)。
  • 籾粉砕飼料用米を給与した場合の血液正常は、慣行的肥育飼料を給与した場合と比較して差がない(図1、図2)。

成果の活用面・留意点

  • 飼料用米の飼料としての保存性や嗜好性には問題は認められないが、現状での生産コストが高いため、安定的に高収量が期待できる栽培技術を持った農家、低コストな流通体制が整っている地域、ブランド化により牛肉の付加価値向上が見込まれる地域などから導入を図る。

具体的データ

表1

表2

表3

図1

図2

(中武 好美)

その他

  • 研究課題名: 飼料用米給与が黒毛和種肥育牛に及ぼす影響
  • 予算区分: 受託(えさプロ5系)
  • 研究期間: 2008~2009年度
  • 研究担当者: 中武 好美、築城 努、鍋倉 弘良