九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

乾燥芋焼酎粕の機能性を利用した豚肉生産

要約

芋焼酎由来の乾燥焼酎粕を配合飼料に4%添加した飼料を体重30kgから110kgまでの肥育豚に給与しても発育や肉質に問題はなく、肥育後期(70kg)から給与してもロース肉中のαートコフェロール含量は有意に増加する。

  • キーワード: 芋焼酎粕、肥育豚、機能性成分
  • 担当: 宮崎県畜産試験場・川南支場・養豚科
  • 代表連絡先: Tel:0983-27-0168
  • 区分: 九州沖縄農業・畜産・草地(中小家畜・畜産環境)
  • 分類: 技術・普及

背景・ねらい

南九州において大量に排出される焼酎粕は、成長促進物質やポリフェノールなどの機能性成分が多く含まれ、嗜好性も良いことから、配合飼料の副原料として有効である。しかし、芋焼酎由来の乾燥焼酎粕の肥育豚への適正な給与方法については十分に検討されていないため、乾燥焼酎粕給与割合(添加割合2~8%、給与期間70~110kg)と給与期間(添加割合4%、給与開始30、50、70kg)の違いが肥育豚(LWD去勢)の発育性や肉質へ及ぼす影響について検討する。

成果の内容・特徴

  • 乾燥焼酎粕の一般成分は粗蛋白質および粗繊維含量が高く、クエン酸やポリフェノール、ビタミン類などの機能性成分が多く含まれている(表1)。
  • 乾燥焼酎粕を配合飼料に2~8%添加した飼料を肥育豚に約70kgから給与しても、増体や肉質に悪影響はなく、特に4%添加が最も増体成績が良くなる傾向にある(表2)。
  • 4%の焼酎粕添加飼料を肥育前期(約30kg)から給与しても、増体、肉質および肉色に悪影響はない(表2、図1)。
  • ロース肉中αートコフェロール含量は4%焼酎粕添加飼料の全ての給与期間で有意に高くなり、給与期間の違いによる差はない。ロース肉中TBARS値は同飼料の2ヶ月以上給与で有意に低くなる(表3)。

成果の活用面・留意点

  • 乾燥焼酎粕のTDN含量は、配合飼料よりも低いため、混合割合を高くしすぎると発育へ影響が出る可能性がある。
  • 乾燥焼酎粕給与によって低コスト化が可能であるが、混合割合が少量であるため、1頭当たりのコスト低減効果が小さいため給与頭数を多くすることが必要である。

具体的データ

表1

表2

表3

図1

(堀之内 正次郎、岩切 正芳)

その他

  • 研究課題名: 焼酎粕の機能性を利用した肥育豚の生産性向上に関する研究
  • 予算区分: 国庫(新たな農林水産施策を推進する実用技術開発事業)
  • 研究期間: 2007~2009年度
  • 研究担当者: 堀之内 正次郎、中塩屋 正志、岩切 正芳、入江 正和(宮崎大農)、高橋 俊浩(宮崎大農)、森田 哲夫(宮崎大農)、林 國興(鹿児島大農)