要約
不耕起栽培におけるトウモロコシの乾物およびTDN収量は耕起栽培と同程度である。また、不耕起栽培は耕起栽培と異なる根系形態が認められ、根乾物重量が多く、耐倒伏性が高い傾向にある。
- キーワード: トウモロコシ、不耕起栽培、栽植密度、耐倒伏性
- 担当: 鹿児島農開センター畜試・企画環境飼料部・草地飼料研究室
- 代表連絡先: Tel:0995-48-2189
- 区分: 九州沖縄農業・畜産・草地(草地飼料作)
- 分類: 技術・普及
背景・ねらい
高栄養飼料作物であるトウモロコシは、昨今の配合飼料価格の高騰によりその価値が見直され、栽培気運が高まっており、生産意欲の高い農家では二期作栽培が実践されている。しかしながら、二期作栽培は一作目収穫と二期目播種を短期間で行う必要があるため、作業が遅れた場合に二期作目の十分な生育期間が確保できず、刈取適期まで到達しない等の問題が認められている。そこで省力的に播種が可能な不耕起播種機におけるトウモロコシ栽培について、生産性、耐倒伏性、根系形態および栽植密度の影響について検討する。
成果の内容・特徴
- 慣行栽植密度(667本/a)における不耕起栽培と耕起栽培の収量性は、生草、乾物およびTDN収量が同程度である(表1)。
- 不耕起栽培は栽植密度の増加とともに生草、乾物およびTDN収量が多くなる傾向が認められる(表1)。
- 慣行栽植密度における不耕起栽培と耕起栽培の耐倒伏性は不耕起栽培が高い傾向にある。また、不耕起栽培では栽植密度が増加すると耐倒伏性が低くなる傾向にある(表1)。
- 不耕起栽培は慣行栽植密度において耕起栽培より耐倒伏性が高い傾向にあり、栽植密度を高めると収量が増加することから、最適密度は慣行耕起栽培の密度より多いと考えられる(表1)。
- 不耕起栽培の根系発達は耕起栽培と異なり、表層に集中し、水平方向に発達している(写真1)。また、慣行栽植密度下における個体あたりの根乾物重量は、不耕起栽培が多く、根が発達していることから地上部の支持力が大きい(表2)。
成果の活用面・留意点
- トウモロコシの不耕起栽培技術の指針に活用できる。
- 本成果は黒ボク土壌の排水良好な圃場で得られたものであり、その適用には留意する。
具体的データ
(原田 直人)
その他
- 研究課題名: 地域に適した効率的トウモロコシ不耕起栽培技術の確立
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2005~2007年度
- 研究担当者: 原田 直人、小村 洋美、宮薗 勉、竹之内 豊
- 発表論文等: 原田ら(2009)鹿児島県農業開発総合センター研究報告、3:19-26