要約
生ニンニクから抽出したニンニクオイルを配合した混合飼料を肉用鶏の配合飼料に0.2%添加給与することで、LPS刺激後の血漿中亜硝酸塩の生成を抑制することができる。また、増体の低下も軽減され生産性の向上が図れる。
- キーワード: 肉用鶏、ニンニクオイル混合飼料、血漿中亜硝酸塩、増体重
- 担当: 佐賀畜試・中小家畜部・中小家畜担当
- 代表連絡先: Tel:0954-45-2030
- 区分: 九州沖縄農業・畜産・草地(中小家畜・畜産環境)
- 分類: 技術・参考
背景・ねらい
肉用鶏は病気を引き起こす外敵から自分自身の体を守ろうとする免疫機能を有している。但し、免疫機能が働く際に肉用鶏体内で引き起こる各種反応(炎症・抗体産生・リンパ球の増殖等)は生産性の低下を招くことに繋がる。そこで、免疫反応により引き起こる各種反応を最小限に抑えることができれば、生産性の低下も抑制することが可能になることが報告されている。
生産性の低下には飼料消費量の低下が関与していることが予想されることから、食欲増進効果が報告されているニンニク(本試験では生ニンニクから抽出したニンニクオイルを配合した混合飼料を使用)を肉用鶏に給与した際の免疫機能と生産性に及ぼす影響について検討する。
成果の内容・特徴
- 免疫機能への影響として血漿中の亜硝酸塩濃度を測定したところ、LPS(リポ多糖: グラム陰性細菌細胞外膜の主要構成成分)を接種した刺激群については全測定時(31,34,50日齢)で試験区が有意に低くなっており、免疫反応時に血漿中で亜硝酸塩の生成が抑制される(図1)。
- LPS刺激群における体重の推移は、LPS接種直後の31日齢から36日齢の増体がLPS非刺激群に比べて低下したが、ニンニクオイル給与区(試験区)の方が有意に増体の低下が少ない(図2)。
成果の活用面・留意点
- 本試験で用いたニンニクは飼料1tあたり2kg添加(1,260円)しており、混合する際は攪拌機等で配合飼料と混合する必要がある。
- LPS非刺激群は生理食塩水のみを、LPS刺激群には生理食塩水にLPSを溶解したものを31日齢、34日齢に静脈接種を行うことで免疫反応を誘発した。また、使用したLPS(E.coli:0127:B8)は50μg/mlに溶解後、100μl/kgを接種した。
- 血漿中の亜硝酸塩濃度は、免疫反応を誘発することで生体を防御するために生成される物質であることから、免疫機能へ及ぼす影響の指標として測定した。
具体的データ
(細國 一忠)
その他
- 研究課題名: 天然資源活用によるブロイラーの疾病防除技術開発
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2008~2010年度
- 研究担当者: 細國 一忠、永渕 成樹