九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

採卵鶏飼料に屑米を15%給与すると収益が6%増加する

要約

採卵鶏の飼料として屑米を用いることで、産卵成績に影響を及ぼすことなく飼料費が低減できて収益が増加する。但し、屑米を給与することによる卵白の透明化による卵質を考慮すると、15%の給与が効果的であり収益は6.3%増加する。

  • キーワード: 採卵鶏、屑米、産卵成績、経済性
  • 担当: 佐賀畜試・中小家畜部・中小家畜担当
  • 代表連絡先: Tel:0954-45-2030
  • 区分: 九州沖縄農業・畜産・草地(中小家畜・畜産環境)
  • 分類: 技術・参考

背景・ねらい

採卵鶏飼料の主原料であるとうもろこし価格の高止まりによる配合飼料価格の上昇は、卵価の大幅な増加が見込めない中で養鶏農家の経営を非常に圧迫している。このような中では、とうもろこしの代替となり生産性等に悪影響のない安価な未利用資源の活用が望まれる。そこで、県内の食品メーカーから排出される屑米を採卵鶏用飼料に活用した際の影響について検討する。

成果の内容・特徴

  • とうもろこしの代替として屑米を15%(屑米15%区)、20%(屑米20%区)、25%(屑米25%区)給与すると市販成鶏用配合飼料のみを給与する区(対照区)に比べてCPが高く、MEが低くなる。また、飼料価格は屑米15%区で2.3%、屑米20%区で6.6%、屑米25%区で11.0%低減する(表1)。
  • 産卵成績については各項目で有意差は認められない(表2)。
  • 経済性について試験期間中の粗収入と飼料代から算出した粗収益で評価すると、屑米15%区で6.3%、屑米20%区で16.0%、屑米25%区で22.8%増加する(図2)。

成果の活用面・留意点

  • 屑米の多給は卵白の透明化につながることから、市場性を考慮すると15%程度の添加率が望ましい(図1)。また、パプリカ抽出物を添加しない場合は卵黄色の淡色化も懸念されるので注意が必要である。
  • 試験区の飼料にはとうもろこしと屑米のほかに大豆粕、米糠、魚粉、炭酸カルシウム、食塩、アルファミール、牡蠣殻およびニンニクオイル抽出物を含む。

具体的データ

図1

表1

表2

図2

(細國 一忠)

その他

  • 研究課題名: 未利用資源等を活用した採卵鶏用飼料の低コスト化技術の検討
  • 予算区分: 県単
  • 研究期間: 2009~2011年度
  • 研究担当者: 細國 一忠、永渕 成樹