要約
過剰排卵処理時の1回人工授精は、発情開始から15~20時間に行うことで高い正常胚率が得られる。
- キーワード: 牛、人工授精、過剰排卵処理、歩数計、正常胚
- 担当: 宮崎県畜産試験場・家畜バイテク部
- 代表連絡先: Tel:0984-42-3044
- 区分: 九州沖縄農業・畜産・草地(大家畜)
- 分類: 技術・参考
背景・ねらい
過剰排卵処理時における人工授精では、通常の人工授精とは異なり複数の卵胞の排卵が経時的に起こっていると推測される。したがって、より多くの移植可能胚を得るためには適期授精が重要であるが、過剰排卵処理時における人工授精適期に関する知見は少ない。一方、ウシの行動量の増加から発情を検知する歩数計が普及し、人工授精適期の推定に活用されている。そこで、歩数計を用いて1回人工授精で実施した過去の採胚成績をもとに、過剰排卵処理時における人工授精適期について検討する。
成果の内容・特徴
- 歩数計は、採胚日約1ヶ月前から供試牛の前肢に装着し、1時間毎の歩数を計測する。
- 発情開始から人工授精までの時間は受精率に影響しない(表1)。
- 発情開始から15~20時間に人工授精を行うことで高い正常胚率が得られる(表2)。
- 発情持続時間および発情時の総歩数は総胚数・正常胚数に影響を及ぼさない(図1)。
成果の活用面・留意点
- 歩数計を使用している農家において、過剰排卵処理時における1回人工授精に活用できる。
- 本試験は群飼における成績であるので、飼養形態により歩数の増加による発情の検知が困難な場合がある。
具体的データ
(高木 哲)
その他
- 研究課題名: 受精卵移植技術高位平準化事業
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2007~2009年度
- 研究担当者: 高木 哲、鍋西 久