九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

ワイン粕の給与が肥育豚の発育及び排せつ物の性状に与える影響

要約

ワイン粕の乾燥粉末を肥育豚の飼料に5%添加すると、ふんから発生する硫化水素濃度の低下や腸内細菌叢における嫌気性総菌数、大腸菌群数の減少や有害菌の検出率の低下が見られる。

  • キーワード: ワイン粕、未利用資源、悪臭物質、腸内細菌叢
  • 担当: 宮崎県畜産試験場川南支場・環境衛生科
  • 代表連絡先: Tel:0984-42-1122
  • 区分: 九州沖縄農業・畜産・草地(中小家畜・畜産環境)
  • 分類: 技術・参考

背景・ねらい

宮崎県内には4カ所のワイナリーがあり、製造過程で生じたワイン粕は、そのほとんどがたい肥化処理されている。ワイン粕中には、ポリフェノール、食物繊維などの機能性成分が含まれており、家畜飼料として利用することにより家畜の健康性向上や環境負荷低減効果などが期待され、消費者ニーズに対応した安全・安心で高付加価値のブランド畜産物生産の可能性も期待できる。
そこで、乾燥粉末にしたワイン粕を肥育豚の飼料に5%添加した飼料を給与し、発育及び排せつ物の性状に及ぼす影響について検討する。

成果の内容・特徴

  • 両区間に増体の差は無く、ワイン粕添加は増体に悪影響は与えない(図1)。
  • ふんの水分、有機物割合には差が見られない(図2)。
  • ふんから発生する硫化水素濃度は有意に低い値を示す(図3)。
  • 腸内細菌叢の測定では、嫌気性総菌数が有意(p<0.05)に減少し、大腸菌群数においても減少傾向が見られる(表1)。
  • 試験区でサルモネラの検出率の低下やストレプトコッカス、乳酸桿菌数も有意な減少が見られる(表1)。
  • 今回使用したワイン粕は、乾燥粉末処理によりビタミンEを8mg/100g、総ポリフェノールを4,826mg/100g含んでいる。

成果の活用面・留意点

  • ワイン粕中の成分は、原料であるぶどうの品種や製造方法等により変動する。
  • ワイン粕乾燥粉末は密閉遮光の上、冷暗所に保管する。

具体的データ

図1

図2

図3

表1

(松葉 賢次)

その他

  • 研究課題名: 人と自然にやさしい養豚経営に関する研究
  • 予算区分: 県単
  • 研究期間: 2006~2009年度
  • 研究担当者: 松葉 賢次、中村 淳美、森 弘
  • 発表論文等: 六車ら(2010)宮崎大学農学部研究報、56:119-125