九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

ギ酸・プロピオン酸製剤の添加による規格外バレイショの液状保存技術

要約

水洗後に破砕した規格外バレイショと水を7:3で混合した液状飼料は、加熱殺菌後にギ酸・プロピオン酸製剤(ギ酸68%,プロピオン酸20%含有)を0.4%添加することで雑菌の増殖を抑えリキッドフィーディング用の液状飼料として約40日間保存できる。

  • キーワード: バレイショ、ギ酸、プロピオン酸、リキッドフィーディング
  • 担当: 長崎農技セ・中小家畜・環境研究室
  • 代表連絡先: Tel:(代表)0957-68-1135
  • 区分: 九州沖縄農業・畜産・草地(中小家畜・畜産環境)
  • 分類: 研究・参考

背景・ねらい

規格外バレイショは飼料利用可能な食品残さの一つであるが、水分含量が高いため保存性が悪い。一方、養豚農家では食品残さの飼料利用を図るため、水分の高い飼料原料を液状で混合して豚に給与するリキッドフィーディング技術が広がりつつある。そこで、規格外バレイショをリキッドフィーディング用飼料原料として液状保存するため、飼料添加物として認められている有機酸製剤を添加し、その保存性を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 水洗後に破砕した規格外バレイショと水を7:3で混合した液状飼料は、ギ酸製剤(ギ酸85%含有)を0.2%添加することで、大腸菌群は7日間検出されず、総好気性菌および酵母の増殖も無添加より少ないが、14日目には総好気性菌、大腸菌群および酵母が増加し、カビも発生する(表1)。
  • 水洗後に破砕した規格外バレイショと水を7:3で混合した液状飼料は、70°Cで30分加熱し、ギ酸・プロピオン酸製剤(ギ酸68%,プロピオン酸20%含有)を0.4%添加することで、42日経過しても総好気性菌および大腸菌群は低く抑えられ、カビの発生も認められない(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 廃棄されている規格外バレイショをリキッドフィーディング用の飼料原料として有効活用できる。
  • 飼料安全法において給与飼料中のギ酸含有量は0.5%まで、プロピオン酸含有量は0.3%までと定められている。また、プロピオン酸の添加は自家配合では飼料製造管理者を設置する必要はないが、販売を目的とした場合には飼料製造管理者を設置しなければならない。
  • 飼料調製現場における調製機器および貯蔵容器の雑菌混入の程度によりギ酸およびプロピオン酸の添加効果が異なる可能性がある。
  • バレイショ液状飼料は沈殿を生じるため、大量に保存する場合は撹拌等の措置が必要になる。

具体的データ

表1

表2

(嶋澤 光一)

その他

  • 研究課題名: 低・未利用食品残さの高度利用技術の開発
  • 予算区分: 実用技術
  • 研究期間: 2008~2010年度
  • 研究担当者: 嶋澤 光一、本多 昭幸