要約
飼料用トウモロコシ栽培において、前年に作付けしたヘアリーベッチをカバークロップとして利用することで、除草剤を使用しなくても、除草剤を使用した慣行栽培と同程度の収量を得ることができる。
- キーワード: 除草剤、ヘアリーベッチ、カバークロップ、飼料用トウモロコシ
- 担当: 大分農林水産研指・畜産・飼料・環境チーム
- 代表連絡先: Tel:0974-76-1216
- 区分: 九州沖縄農業・畜産・草地(草地飼料作)
- 分類: 技術・参考
背景・ねらい
消費者の食の安全性に対する関心の高さや、近隣のほ場や民家への配慮から、飼料用トウモロコシでも農薬を使用しない栽培が求められている。そこで、雑草抑制効果が高く、飼料用トウモロコシへの窒素移譲効果の期待できるマメ科牧草のヘアリーベッチを利用した除草剤を使用しない栽培技術を開発する。
成果の内容・特徴
- ヘアリーベッチは、飼料用トウモロコシの播種前に処理し、カバークロップとして利用する。処理は、ヘアリーベッチが草高60cm程度まで生育し、全面を被覆した時点とし、フレールモアによる細断又はケンブリッジローラー等の鎮圧機による鎮圧により行う。鎮圧では、飼料用トウモロコシ2葉期頃に、ディスクモアで全面を刈り払う。その後再生するヘアリーベッチ等は、リビングマルチとして利用する(図1)。
- ヘアリーベッチのカバークロップは、雑草の出芽を抑制する。その効果は、フレールモアによる細断では、土壌処理剤を使用した耕起栽培と同程度であり、鎮圧では、それ以上の効果がある(表1)。
- 除草剤を2回使用する栽培体系より雑草量は多いが、除草剤を1回使用する栽培体系と同程度の雑草量になる(図2)。
- 除草剤を使用した慣行栽培と同程度の収量が得られる。鎮圧による処理では、再生するヘアリーベッチ及び雑草により飼料用トウモロコシの生育が抑制されるため、フレールモアによる処理と比較すると収量は減少する(図3)。
成果の活用面・留意点
- ヘアリーベッチの使用品種は、早生品種「まめっこ」であり、積雪のない地域で活用できる。
- ヘアリーベッチの生育が進みすぎたり、処理後時間が経過しすぎると播種機にヘアリーベッチがからまることがある。ヘアリーベッチ処理後、できるだけ早く、飼料用トウモロコシを播種するとよい。
具体的データ
(鶴岡 克彦)
その他
- 研究課題名: カバークロップを利用した飼料用トウモロコシの無農薬栽培技術の確立
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2008~2010年度
- 研究担当者: 鶴岡 克彦、中野 英治、金丸 英伸