九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

ガス濃度調整剤を用いたウシ胚の簡易培養装置の開発

要約

ガス濃度調整剤を用いた簡易培養装置により、従来の培養装置と同等のウシ胚発生成績が得られる。

  • キーワード: ガス濃度調整剤、ウシ胚、簡易培養
  • 担当: 宮崎県畜産試験場・家畜バイテク部
  • 代表連絡先: Tel:984-42-3044
  • 区分: 九州沖縄農業・畜産・草地(家畜)
  • 分類: 技術・普及

背景・ねらい

ウシ胚の培養には、ガスボンベや炭酸ガスインキュベータ等の設備が必要となる。そこで本研究では、これらの設備を必要としないガス濃度調整剤を用いた簡易培養装置を開発し、ウシ体外受精胚の作出およびウシ胚培養の可能性について検討する。

成果の内容・特徴

  • 酸素を吸収し、二酸化炭素を発生させるガス濃度調整剤を小型密閉容器中で使用することで、炭酸ガス気相(設定到達濃度:炭酸ガス5%、酸素ガス15%)および低酸素気相(設定到達濃度:炭酸ガス5%、酸素ガス5%)の二つの培養気相を再現できる(図1)。
  • 体外受精胚作出過程において、卵子の成熟培養、媒精をガス濃度調整剤(炭酸ガス気相)で培養することで、炭酸ガスインキュベータ培養による対照区と同等の胚発生成績を得られる(図2)。
  • 体外受精胚作出の過程において、7日間の発生培養をガス濃度調整剤(低酸素気相)で行うことで、細胞培養チャンバー(炭酸ガス5%、酸素ガス5%、窒素ガス90%)による対照区と同等の胚発生成績を得られる(図2)。
  • 7日目の体外由来ウシ胚盤胞をガス濃度調整剤(炭酸ガス気相)で培養することで、透明帯脱出胚盤胞率は、炭酸ガスインキュベータ培養と同等の成績を得られる(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 炭酸ガスインキュベータ等の設備がない事業所においても、体外受精胚の作出およびウシ胚の培養が可能となる。
  • 培養対象によって、炭酸ガス気相と低酸素気相の二つのガス濃度調整剤を使い分ける。
  • 容器内の気相を設定濃度に調整するためには、密閉容器の容積に留意する必要がある。

 具体的データ

図1 

図2 

図3

その他

  • 研究課題名: 性判別受精卵を活用した優秀乳用後継牛作出事業
  • 予算区分: 県単
  • 研究期間: 2005~2009年度