要約
回分式活性汚泥法を用いた冬季の豚舎汚水浄化処理において、沈殿中の活性汚泥内に原水を注入することで、処理水中の全窒素除去率が3.7%向上する。また、BOD、SSは放流基準以下になる。
- キーワード: 回分式活性汚泥法、冬季処理、原水投入方法、沈殿汚泥中注入、窒素除去
- 担当: 宮崎県畜産試験場・川南支場・環境衛生科
- 代表連絡先: Tel:0983-27-0168
- 区分: 九州沖縄農業・畜産・草地(畜産環境)
- 分類: 技術・普及
背景・ねらい
現在、県内の養豚汚水処理施設は173件で、うち41件が回分式活性汚泥法による浄化処理を行っている。回分式活性汚泥法では、水温の下がる冬場に処理能力の低下が見られ、通常95%以上の窒素除去率が、冬場には80%まで低下することもある。本県では宮崎県方式低コスト浄化処理施設(回分式活性汚泥法)の回分槽において、曝気停止時の沈殿汚泥中に原水を注入することにより、上部から投入する従来法に比べ窒素除去率が向上することを観察した。そこで、両手法による運転を比較し、窒素除去に配慮した回分式活性汚泥法の運転技術を確立する。
成果の内容・特徴
- 曝気槽の水面上部20cm高にある原水投入口に、傾斜角45°異径エルボで内径50mmの塩化ビニルパイプを取り付け、原水が沈殿汚泥中に注入されるよう設置(図1)する。
- 回分式活性汚泥法で沈殿汚泥中に原水を注入すると、回分槽水面上部からの投入法に比べ、処理水中のアンモニア態窒素除去率が1.4%向上し、全窒素除去率が3.7%向上する。(表2)
- 沈殿汚泥中に注入した場合の処理水について、BOD、SSの除去率は95%以上であり、回分槽水面上部から投入する従来法と同様に放流基準をクリアできる。(表2)
成果の活用面・留意点
- 回分式活性汚泥法による処理農家で活用できる。
- パイプの設置時には、パイプをワイヤーで吊るなどして固定し、曝気時に流されないように注意する。
具体的データ
その他
- 研究課題名: 養豚経営における窒素・リン低減化技術の確立
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2005~2007年度