九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

マンネンタケ菌床を地域特産肉用鶏に給与すると生産性と細胞性免疫能が向上する

要約

大豆加工品の製造副産物を利用して作られたマンネンタケ菌床を添加した、抗菌剤を含まない飼料を肉用鶏へ給与することにより、細胞性免疫能を活性化し、生産性を向上させる。

  • キーワード: おから、細胞性免疫、抗菌剤、肉用鶏
  • 担当: 熊本県農業研究センター・畜産研究所・中小家畜研究室
  • 代表連絡先: Tel:096-248-6433
  • 区分: 九州沖縄農業・畜産草地(家畜)
  • 分類: 技術・参考

背景・ねらい

 消費者から抗菌剤等の使用量を減らした、安全性の高い鶏肉や機能性を有する高品質な鶏肉の開発が望まれている。一方、本県の大豆加工場からは、おからや大豆粕が廃棄物として大量に排出されており、これらに籾がらおよびオガクズなどを加え、マンネンタケ(霊芝)菌床として有効利用することが試みられている。キノコの一種であるマンネンタケには、抗菌性や抗腫瘍性のあるテルペノイドや免疫賦活作用があるβーグルカン類が含まれていることが知られており、抗菌剤の代替としての活用が期待できる。そこで、本県特産の肉用鶏「天草大王」の雄を用い、マンネンタケの菌床を飼料に添加することが、肉用鶏の生産性および免疫反応に与える影響を解明する。

成果の内容・特徴

  • 菌床を4%添加することにより、試験終了時の体重が大きくなる傾向にある(表1)。
  • 精肉に関する部位および免疫機能に関する部位のいずれにおいても、菌床を添加することによる影響はみられない(表2)。
  • 1羽当たりの利益は、有抗菌剤区で506円、無抗菌剤4%区で632円、無抗菌剤無添加区で487円である(表3)。
  • 細胞性免疫の指標である遅延型過敏反応では、13週齢において菌床を添加することにより免疫能が高い傾向にある(図1)。

 成果の活用面・留意点

  • 大豆加工品の製造副産物には難消化性のおがくずや籾がらが含まれることから、5週齢以降の雛に給与する。

具体的データ

表1

表2

表3

図1

その他

  • 研究課題名: キノコ菌床を活用した肉用鶏の無薬飼育技術の開発
  • 予算区分: 県単
  • 研究期間: 2006~2008年度