九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

泌乳牛用飼料イネ発酵TMRにおける麦焼酎粕濃縮液の適正混合割合

要約

飼料イネを用いた発酵TMRへの麦焼酎粕濃縮液の混合割合は、乾物中20%であれば生乳に微発酵臭が発生することがあるため、乳量や乳成分率、生乳の風味等に影響を及ぼさない乾物中10%とする。

  • キーワード: 乳牛、飼料イネ、麦焼酎粕濃縮液、発酵TMR、官能検査
  • 担当:福岡県農総試・家畜部・乳牛チーム
  • 代表連絡先: Tel:092-925-5232
  • 区分:九州沖縄農業・畜産・草地(家畜)
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

現在、栽培面積が拡大しつつある飼料イネは、泌乳牛用飼料としては粗蛋白質含量が少ないという欠点がある。一方、食品製造副産物の一つである麦焼酎粕濃縮液は、粗タンパク質含量が比較的多いことから、飼料イネを用いた泌乳牛用発酵TMR調製に利用すれば、給与飼料中のタンパク質を補完できるものと考えられる。
しかし、飼料イネと麦焼酎粕濃縮液を混合した発酵TMRの調製・給与に関する報告はほとんどない。そこで、麦焼酎粕濃縮液の混合割合が乳生産や乳質に及ぼす影響を明らかにし、飼料イネ発酵TMRにおける麦焼酎粕濃縮液利用の指針とする。

成果の内容・特徴

  • 泌乳後期牛に麦焼酎粕濃縮液を乾物中10%混合した飼料イネ発酵TMRを給与すると、粗タンパク質の消化率は7ポイント程度低下するが、乾物摂取量、乳量・乳成分率に影響はない(表1および表2)。
  • 麦焼酎粕濃縮液の混合割合が乾物中20%の場合、粗タンパク質の消化率は21ポイント程度低下し、乳成分率に影響はみられないものの、乾物摂取量と乳量は低下する傾向がある(表1および表2)。
  • 麦焼酎粕濃縮液の混合割合が乾物中20%の場合、生乳の官能検査において、わずかに発酵臭が発生する(表3)。

成果の活用面・留意点

  • 飼料イネと麦焼酎粕濃縮液を用いた泌乳牛用発酵TMR調製と給与設計に活用する。
  • 麦焼酎粕濃縮液はクエン酸等により雑菌の生息が困難なため、長期保存が可能で、年間を通して利用できる。
  • 麦焼酎粕濃縮液は粘性が高いため、TMRを調製する際には最後に添加する。
  • 麦焼酎粕濃縮液は粗タンパク質の消化率が低いため、給与設計の際には留意する。

具体的データ

 表1

表2

表3

  

その他

  • 研究課題名:発酵TMR中における飼料イネ及び麦焼酎粕濃縮液の混合割合が乳量・乳成分率等に及ぼす影響
  • 予算区分:委託プロ(えさ)
  • 研究期間:2006~2008年度
  • 研究担当者:森永結子、太田剛、横山学、北崎宏平、梅田剛利、鈴木知之(九州沖縄農研)、馬場武志