要約
インターネットと遠隔監視技術を活用し、放牧牛の位置情報システムの開発、および太陽パネルとバッテリーを活用した電源の供給システムの構築により、放牧時の牛の個体識別および位置情報をパソコンで管理することができる。
- キーワード:放牧、牛、位置、インターネット
- 担当:大分農林水産研畜産・酪農担当、草地飼料担当
- 代表連絡先: Tel:0974-76-1216
- 区分:九州沖縄農業・畜産・草地(草地飼料作)
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
近年、低コスト化、労働時間の短縮、耕作放棄地解消、景観の改善および鳥獣害対策等の理由により牛の放牧が改めて注目されている。その一方で、放牧地において牛の個体管理や集畜作業、脱柵防止に多大な労力が必要である等、解決すべき問題点も多い。
そこで、先端IT技術を活用し、放牧飼養管理における省力化とリスク管理が可能な家畜個体位置管理システムの開発を行う。
成果の内容・特徴
- 家畜個体識別が可能な位置情報システムの開発
1)個体識別センサー(表1、写真1左)と受信機(表1、写真1右)を利用することで、牛が存在する位置(受信機の半径約30mのエリア)を識別することが可能となり、牛個体の位置情報を知ることができる(図1)。
2)5分毎の個体位置情報をパソコンで確認することができ(図2)、さらにデータをエクセルファイルとして保存することができる。
3)試験牛6頭(肉用牛繁殖雌牛)を使い7日間試験を行ったところ、期間中全ての牛の位置情報を受信し(表2)、さらに全頭1日1回以上の受信があった。 - 太陽パネルを利用した電源供給機器の実証
1)太陽パネル(写真2)とバッテリーを利用し、データ受信機および電波中継機器を稼働することができる。
2)太陽パネルとバッテリーを併用することで、電源供給ができない放牧地でもシステムを使用することができる。
成果の活用面・留意点
- 電波中継機器を設置することで複雑な地形でもシステムの稼働が可能となる。
- 受信機をエサ場、水飲み場等の牛の集まる場所に設置することで、毎日牛の位置を知ることができ、リスク管理も可能となる。
具体的データ
その他
- 研究課題名: 先端IT技術を活用した省力的な放牧飼養管理技術の検討
- 予算区分:県単独
- 研究期間:2008~2009年度
- 研究担当者:内村誠、松岡恭二、武石秀一、宇都宮茂夫