要約
飼料用米混合飼料を給与した肉豚の生産性は、飼料用米の加工形状によって影響を受けるが、粉砕した玄米を重量比50%混合すると、ロース肉中のオレイン酸は増加し、リノール酸が低下するとともに食味性は向上する。
- キーワード:飼料用米、肥育豚、加工形状、脂肪酸組成
- 担当:宮崎県畜産試験場・川南支場・養豚科
- 代表連絡先: Tel:0983-27-0168
- 区分:九州沖縄農業・畜産・草地(家畜)
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
飼料価格高騰の問題を受け、輸入飼料に依存しすぎず、飼料自給率を高めることの重要性が改めて浮き彫りになっている。このことから、転作水田を活用した飼料用米の作付けが全国で展開されており、家畜への給与技術確立が喫緊の課題となっている。本研究では、市販飼料への飼料用米の混合給与を想定し、飼料用米の加工形状と配合割合が肉豚の生産性、枝肉性状、脂肪酸組成および食味性に及ぼす影響について検討する。
成果の内容・特徴
- 飼料用米を市販飼料に50%混合した飼料を給与した肉豚の生産性は、飼料用米の加工形状によって影響を受け、玄米または籾圧ペンでは増体が低下するが、粉砕すると改善する(表1)。
- 飼料用米(玄米粉砕あるいは籾圧ペン)を市販飼料に50%に混合した飼料を肉豚に給与すると、ロース肉中および周辺脂肪のオレイン酸が有意に高くなり、リノール酸が有意に低くなる(表1)。
- 飼料用米(玄米粉砕)を市販飼料に50%混合した飼料を肉豚に給与すると、ロース肉は対照区と比較して、味、歯ごたえ、後味、ジューシーさ、香り、こくが有意に向上する(表2)。
- 飼料用米給与による脂肪酸組成の変化は、市販飼料への重量比10%の混合では期待できない(表3)。
成果の活用面・留意点
- 飼料用米は粉砕処理をしなければ発育成績が低下する可能性がある。
- 粉砕等の加工を行った飼料用米を市販飼料へ混合する場合、豚肉の生産コストを上昇させることから、豚肉は付加価値を付けた販売を行うことが望ましい。
具体的データ
その他
- 研究課題名:高付加価値「宮崎ハマユウポーク」生産技術確立試験
- 予算区分:県単※一部平成20年度国産飼料資源活用促進総合対策事業(飼料用米利活用モデル実証)による。
- 研究期間:2008年度
- 研究担当者:堀之内正次郎、中塩屋正志、岩切正芳