九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

荒茶の萎凋香味を高めるための生葉保管条件と品種間差

要約

製造前に、生葉の温度を15℃で16時間程度保管すると、荒茶の萎凋香味は強くなる。また、品種により萎凋香味の発揚程度は異なる。

  • キーワード: チャ、生葉保管、萎凋香味、品種間差
  • 担当: 鹿児島農総セ・茶業部・加工研究室
  • 代表連絡先: Tel:0993-83-2811
  • 区分: 九州沖縄農業・茶業
  • 分類: 技術・参考

背景・ねらい

嗜好の多様化に対応できる多様な香味の緑茶が求められており、摘採された生葉が製造前に受ける各種ストレスにより発現する萎凋香味の利用は、新香味茶製造の有効な手段である。そこで、安定して良好な萎凋香味を発揚させるための生葉保管条件と萎凋香味が発揚しやすい品種の検索を行う。

成果の内容・特徴

  • 生葉を保管する温度が異なると萎凋香味の発揚に要する時間が変わる。生葉を15℃で保管すると16時間後に萎凋香味の発揚は強くなる。また、品種が異なっても生葉を保管温度15℃で16時間保管したとき萎凋香味の発揚は強くなり、供試品種の中では「やぶきた」の発揚が弱く、「べにふうき」の発揚は強い(図1)。
  • 萎凋により増加することが知られている香気成分のうち、indoleの増加は生葉のどの部位でも大きい(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 萎凋香味を有する緑茶の生産を検討するときの基礎資料とする。
  • 試験は平成21年産「ゆたかみどり、やぶきた、べにふうき」の一番茶、二番茶、三番茶の露地原料を用いて、100K型生葉コンテナを連続送風にして行った結果である。

具体的データ

図1

表1

(﨑原 敏博、入来 浩幸)

その他

  • 研究課題名: 低温除湿萎凋法を利用した製茶法の開発と改良
  • 予算区分: 実用技術
  • 研究期間: 2007~2009年度
  • 研究担当者: 﨑原 敏博、入来 浩幸、浅井 淳也(霧島市農政畜産課)、木下 朋美(鹿児島短大)、松崎 俊一(株式会社下堂園)、根角 厚司(野菜茶研)