要約
スプリンクラーで散水することにより、カンザワハダニの寄生密度を低減できる。有機栽培などの化学農薬を散布できない場合でも利用できる。
- キーワード: チャ、スプリンクラー、防除、カンザワハダニ、散水
- 担当: 宮崎県総農試(茶業支場)栽培加工科
- 代表連絡先: Tel:0983-27-0355
- 区分: 九州沖縄農業・茶業
- 分類: 研究・参考
背景・ねらい
近年はカンザワハダニなどの越冬密度が増加しており、一番茶芽での被害が多発していることから、春期の殺ダニ剤の使用回数が増加している。春期の農薬使用は摘採前使用日数に制約されることもあり、化学農薬を使わない防除法が求められている。ハダニ類に対しては、湿度等の樹冠内環境が発生量に影響していると考えられるため、スプリンクラーの散水による新たな防除法について検討する。
成果の内容・特徴
- カンザワハダニの寄生芽率、寄生葉率、および寄生密度は、スプリンクラーで2回/日または3回/日散水することにより、無散水に比べて低下する。また寄生密度は3回/日散水する方が2回/日散水するよりも低い(表1)。
- 被害防止率および防除率は、2回/日または3回/日散水することにより無散水に比べて高くなる。また、防除率は3回/日散水する方が2回/日散水するよりも高い(表2、表3)。
成果の活用面・留意点
- 散水ヘッドはS社製のLB900を使用し、水圧を約0.2MPaに調整した。散水ヘッドを7m間隔で設置し摘採面上から散水している。
- 散水ヘッドの散水量は、水圧0.2MPaで4.0L/minである。
- 2回/日散水は7時と19時に、3回/日散水は7時、13時および19時に、それぞれ30分間散水している。
- 10a当たりの散水量の概算は、2回/日散水で6.0mm/day、3回/日散水で9.0mm/dayである。
- 本成果は2008年4月21日および2009年4月27日から14日間所定の時間に毎日散水したものであり、散水開始時の新芽は2葉期である。
具体的データ
(土岐 星児郎、佐藤 邦彦)
その他
- 研究課題名: 秋冬期温暖化に対応した病害虫防除法の確立
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2006~2009年度
- 研究担当者: 土岐 星児郎、藤田 進、佐藤 邦彦